詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

「甲状腺検査」

「覚悟しておいてくださいね」 と
種市センセが言うもんだから
おれは 固くなって喉を突き出した
冷やっこいもので 喉ぼとけのみぎひだりなでて
どうなんだべが だいじょうぶなんだべが

検査はすぐに終わった
「はい なにもないみたいですね」

いや いがった
いがったんども 出る人と出ない人の差ってなんだべな
下の子どもふたり 避難させたんだども
ふたりとも A2だった
県の二巡目の検査だど
何ともねえと言われた人から ガンが50人見つかってな
やっぱし 初期被ばくだべ
それが 何年もたってから出てくるのだべ

(2017年1月25日)


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# by johnny311 | 2017-03-20 11:46 | 日々の詩2017年 | Comments(0)

「カウントダウン」


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みきちゃん 実家さもどるって
しかたないんでねえの 親の介護あるんではな
避難先から出ても つながっていくべ
福島市でお茶会やっから 集まるべ
あったかくなったら 保養さも行くべ

年明けて
帰還するひと よそさ行くひと 思ったより多い
うちは帰らね
だども 家賃どうすべかなあ
「お金貸してくなんしょ」 と頭さげるしかね
頭さげる先 あればいいけんど
ねえひとは どうする

春 3月すぎれば
棄てられ 難民と化してゆく自主避難者の
痛み悲しみ うらみに不安はどこへゆく
むしろ旗おっ立てて 国会に行かねばならぬ時だが
悲しいぞ ビンボー人は
まずは住まうどご 決めなくてはなんねえ

スリー ツー ワン ゼロ
2017年のお正月
ゲンパツ難民化の
カウントダウンが始まった

(2017・1・8)











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# by johnny311 | 2017-03-14 19:52 | 日々の詩2017年 | Comments(0)

「お見舞い」


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焼けぼっくいの山 黒くこげた杉の立ち木
広い土台の上にあった
あの大きなかやぶき屋根は どこさ行った

母屋は焼けた だども 納屋の米は助かった
いまは土蔵さ住んで 火事の片づけ
おれの手落ちで と 肩落とす

煙突そうじのとき 上で外れていたのかな
わからないでストーブ焚いていて
バーンと 竹割れる音で気がついて
急いで消火器持って 二階さ上がったけど
屋根のかやに火まわっていて
これはだめだと 消防署さ電話した

よそさ 広がらなくて良かった
なにより おめさん助かったんだから それが一番
生きてりゃ 生きてさえいれば何とかなる
そう言って お見舞い出した
深々 頭下げるスギウチさん

何とかなる
何とかなるって言ったんだども ひとりだべ年だべ
やり直すって簡単なことではねえよ
それにしても あのかやぶき屋根
東電と 損害賠償やってたんだよ
煙出しの屋根にたまっていた 40万ベクレルのセシウム
それが煙となって 田んぼに畑に山や川
よそ様の屋根や洗濯物の上さ落ちて 「無主物」になったから
もはや 関係ありませんって言うのだべが
だども これは言わなかった
写真も 撮れなかったさ
残った軽トラックに
反原発のポスター 一

(2017年2月17日)










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# by johnny311 | 2017-03-13 11:22 | 日々の詩2017年 | Comments(0)

「2万4千年の 毒」

わたしの体には 2万4千年の毒がある
死のトゲとなって 病み 痛み 腐らせる
抜けるだけ抜いて 子どもたちを遠くに連れていって
その時がきたら 目をつむる
大好きな あのひとを 想いながら

わたしの星には 2万4千年の毒がある
死のトゲは 虫や 花や ビセイブツや ケモノや
あらゆる 生きものの中に忍び込み
青い星を 灰色に 変える
やがて 毒を作りだしたニンゲンは死に絶えて
長い 長い 昼と夜と 昼と夜を重ねて また 青い星に還る

魂となったわたしは 懐かしいひとたちと再会して でも
やっぱり 大好きなあのひとに 会いたいものだから それに
2万4千年も待てないものだから また
トゲだらけの この世に 生まれかわるのです

せっせと 死のトゲを抜き 子どもたちを島に 連れていき
風になって 花になって 鳥になって あのひとに会いに行き
そうしてまた 死んで生まれてを くり返す

それは わたしの願いわたしの使命
それは あらゆる生きものたちの願いと使命
なぜならそれは この星が 望んでいるからなのです

わたしの体には 2万4千年の毒がある
死のトゲとなって 病み 痛み 腐らせる

(2016年1月24日)



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# by johnny311 | 2017-03-11 19:09 | 日々の詩2016年 | Comments(0)

「6年目の空気」

あの日 本宮にいました
ゆれて ゆれて こわかった
この子は一才6カ月
はい 幸せです と フィリピーナのお母さん

三河島の コリアタウン
あ ゆれている ゆれている
ふいに浮かぶ 関東大震災 朝鮮人虐殺
「おい 十五円五十銭と言ってみろ 
生きたまま 炎に投げ込まれる 白いチマチョゴリ
ハルモニから 昔話に聞かされた
それから3時間 黙って家まで 歩いて帰ったのです と
在日3世のヘジョン

白沢の 仮設住宅
ゲンパツ爆発 ヨウ素剤 配られて
「いざという時 飲んで下さい」って言われて
いざという時って いつなんだよ 
相馬の避難所にも東電社員の家族いて でも なんも言わなかった
この間 浪江に帰って片づけ ほ乳ビンも転がっていて2時46分のまんま
箱買いのたまご ポンポンと破裂して
いやあ 臭いごど臭いごど もう 30年は帰らね

6年目 終わったみたいな空気の福島
でも 緊急事態宣言はそのままで
でも 基準は20ミリシーベルト 問題ないから 帰りなさい
これからは 復興ですよと言われて
でも 子どもの甲状腺ガン167人 事故の責任も取らないで
支援 打ち切り おかしくないですかと言うと
自立したらどうですか イヤなら アメリカでもどこでも 出ていけば と
こんどは 住民が言いだすのだ
悩ましねえのお 同じく 被ばくしてんだけんどな

(2016年3月7日)







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# by johnny311 | 2017-01-23 09:33 | 日々の詩2016年 | Comments(0)