詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

カテゴリ:日々の詩2016年( 28 )

「月と行進」

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ゲホゲホと せき込んでフトンの中
風邪か 夏の疲れか セシウムか
ガラス戸から 十五夜のお月さまが見えたものだから
世界中のこどもたちが おとなたちが
戦争で 放射能で苦しまねえように ついでに
オレの具合も なおしてくなんしょと 手 合わせた

岩泉町の水害のドロかきにいった スギさん
タバコくゆらせながら 月 見てるだべか

6年目 金沢に移住したヤスコさん
子ども学校なれたべか いっしょに お月見やってんだべか
 
37日間 750キロの巡礼を終えた レイさん
スペインの西の外れ フィニステーラで
ワインでも飲みながら 月 眺めてんだべか
 
タンタスコ スコタン タンタスコ スコタン
遠くから シャギリのお囃子が聞こえる
じきに 「今年も始まったない」の 提灯祭り
なにごとも無かったかのように 息子たちはかけてゆくが
「原発いらない 子どもを逃がせ」 の看板しょった
私は まだ行進の途中なのだ
フクイチの線量が上がっている
起きていることに目を凝らせ

熱 下がったら
ヨッコイショと起き上がり
また 歩くべな

(2016・9・15)






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by johnny311 | 2017-09-13 23:27 | 日々の詩2016年

「佐渡さ 行くべ」(泉田知事不出馬を思って)

佐渡さ 行くべ
へっついの家さ 行くべ
タイサンボクの樹の下 ゆらゆらのハンモック
風に あたりながら 流れる
ドンデン山の白い雲 見るべ

陽が落ちたら 火を たくべ
パチパチはぜる たき火にあたりながら 流れる
あまの河 見るべ

保養さ 行くべ
海 山 野っぱら 走り回って 虫 追っかけて
キラキラの泥だんご こさえて
つかれたら 草に寝ころび 空 見るべ

だからな
こっから 南70キロの
柏崎刈羽原子力発電所を 動かしてはなんねえ
佐渡から 逃げ出すことがあってはなんねえ
へっついの家は
みんなの ふるさとだもの

(2016・9・6)






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by johnny311 | 2017-09-04 19:08 | 日々の詩2016年

「ことだま」

ひとが幸せになるような言葉
だれかを思っている言葉
ていねいに だいじに
たましいこめて 使うべ

本当は できてね
バカヤロー なんて思っている
いじめられ ひどいことをされたら
わるい言葉が 口をでるんだよ

だどもな
原発はだめだ 放射能はいらね 戦争はしたくね
いやなことはいやだと はっきり言うごどど
汚ねえ言葉つかうのは ちがうから
まずは お祈りするべ
言葉に たましいこもるようにするべ
口から出た言葉は 本当になるっていうからない

ひとが うれしくなるよう
わたしが うれしくなれるよう
ひとが げんきになるよう
わたしが げんきになれるよう
ていねいに だいじに こころをこめて
あったかい ことだまにしよう

(2016・8・23)



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by johnny311 | 2017-08-20 20:44 | 日々の詩2016年

「タイサンボクの樹の下で」

夏の終わり
タイサンボクの樹の下で
来年も来いよ とリュウジロウが小さく言って
ユウイチがウンとうなずいた
遠くなったセミの声 山からの秋の風
「また来ますから 」と
子どもたちは ときわ丸から手を振って
モニタリンブポストのある街に帰って行った

ガランとした へっついの家
ため息ひとつ ついたら よっこいしょと ふとん干し
ベラルーシのいまを見れば 
30年後も きっと保養はあるのだろうが
その頃 わたしはたましいとなって
タイサンボクの樹の下にいるだろう

また 会いましょう 来年も再来年も
タイサンボクの樹の下の
テラスで風にあたりながら
遠くのあなたに みんなに呼びかけたんだ

いつでも帰っておいで
わたしはいつも ここにいる

(2016・8・22)



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by johnny311 | 2017-08-15 20:58 | 日々の詩2016年

「イエスタディが流れて」

5時の貝塚の集落に
イエスタディが流れてきたから
子どもたちよ 火をたこう

太陽と大地と 海のめぐみと
私たちを守ってくれる すべての存在に感謝して
いただきます を言ったら
おいしく 晩ごはんをいただこう

東の 黒い森の上を流れる銀河の底から
星たちが 今夜も浮かび上がってきたら
たき火を囲んで 空を見上げよう
あれが白鳥座 あの赤く燃えているのがサソリの心臓で
屋根の向こうは おおぐま座

海で 魚つかまえた
セミの羽化も見られたよ
ねえジョニー 来年は中学だから
保養キャンプこれないかも と サクラがポツリ
みんなは あした福島へ
甲状腺ガンの子ども 173人になった福島へ

また へっついの家に来てな
わたしはいつも ここにいる

(2016・8・6)







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by johnny311 | 2017-07-30 10:36 | 日々の詩2016年

「アフリカのおかあさん」

アフリカの 大使夫人が
へっつい家の こどもの支援にやってきた

ここではね
朝 ふとんあげとぞうきんがけ
ごはん食べたら お茶わん洗い
それから お外で遊ぶんだ
海からかえったら マキでおフロをわかし
晩ごはん食べたら またお茶わん洗い と話したら

わたしが子どものころ
日が のぼる前におきて 家のまわりをそうじして
それから 20分歩いて水くみに
頭にのせて運んで 30分
それから 学校へ行きました

おかあさんが キャッサバ作って
わたしは 学校に売りに行き
ためたお金で学校に行ったけれど
いろんなことを 教えてくれた
おかあさんに感謝しています

初めて聞く アフリカの子どもの話
福島の子どもたちが じっと聞いている
お礼に「ビリーブ」と「世界中の子どもたちが」を歌ったら
お返しに アフリカのおかあさんが
「花は花は 花は咲く」と 歌ってくれて
みんなも いっしょに歌ったんだ

(2016・8・2)






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by johnny311 | 2017-07-23 18:32 | 日々の詩2016年

「ネアンデルタールの花」

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わたしは たちあおい
ネアンデルタールの たむけの花

ひっそりと ひとりで逝った男にも
きっと さまざまな物語があったのだろうが
何も語らず 誰も知らず ただ
そのひとがいたという あかし

きれいだね と足を止める
すっと 夏の陽ざしに立つその姿は
どこか 卒塔婆のよう でも
風にゆらゆら 虫はブンブン
やがて 種がこぼれたら
たくさんの子どもたちが 芽を出す

わたしは たちあおい
ネアンデルタールの たむけの花
花が咲いたら 
わたしがいたことを 思いだしておくれ

(2016年5月24日)







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by johnny311 | 2017-07-14 23:40 | 日々の詩2016年

「いっぱいの春」


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棺おけに入って 4日目
だんだん 
ガイコツになっていく ばあちゃん

別人だね
ああ ひと月も病院にいて 痩せた
それに たましい抜けたからな
でも 祭壇の 写真のばあちゃん ニコニコしてて
ほら いまも そこらにいるんだよ

葬儀場から おもてに出ると
山からの風 ドォーと吹いてきて
桜の花びら 滝みたいにザザーと流れて
土手の 黄色いタンポポ ゆらゆら
谷地の桐の 芽吹いた葉っぱも ゆらゆらしてな
見上げる 青い空の向こうは 白い 大きな岩手山
ここいらさも 放射能は降ったのだ

明日は ばあちゃん 焼き場さ行くが
平舘は ちいさな春でいっぱいだった

(2016年5月8日)






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by johnny311 | 2017-07-12 09:19 | 日々の詩2016年

「みとりびと」

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ばあちゃんは 盛岡の病院で 死ぬるしたく
目つむって あの世とこの世 行ったり来たり

石割り桜 満開で いやあ見事だった
九州で地震 多発だけんど ゲンパツは止めねえってさ
むくんだ指もみながら 年寄り息子は
ゆっくり みとるしたく

多発と言えば
本宮のチャーリーは心臓病
二本松のサクマさん 白血病
飯舘のじいちゃん 首吊って
寿命か放射能か 心の病なんだか
あいまいな感じで死ぬ人 まわりでは多くてな
おめさんがたに
なじょな言葉 たむけたらいいもんだか

九十のばあちゃん 逝く仕度
あっちとこっち 行ったり来たり
息子はきょうも みとるしたく
向こうさ行ったら ゆっくり休んで
また 生まれてきてくなんしょ
明日
わたしは 誰かの みとりびと

(2016年4月28日)



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by johnny311 | 2017-07-10 06:37 | 日々の詩2016年

「七時雨の風」

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東に向かえば 田代山
西に登れば 七時雨

ひろびろの鞍部の 枯れ草の下は みどり
牧野の道を 二合目まで登り
大きなブナの木にもたれて 田代平をながめた

ようやく芽吹いた林の下を
雪解け水が たてと横に流れ
ずっと向こうの 姫神山のあたりで
北上川になるのだな

おれは 小学校の遠足のような 愉快な気分になったのだが
病院で横になっている 年老いた母親
佐渡から 福島に戻った子どもたちを思い出したら
なんか切なくなって そっと 手 合わせた

さやさや 山からは風
さらさら 水のにおい
足元でゆれる カタクリの花

ゆっくり 草原を下りながら
おれは あのひとを 思い出していたんだ

(2016年4月26日)






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by johnny311 | 2017-07-09 11:15 | 日々の詩2016年