詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

カテゴリ:第3集( 37 )

「しあわせ ふしあわせー2013年の年の瀬に」

しあわせって なんだろう
あなたが そばに いること?
ふしあわせって なんだろう
あなたが そばに いないこと?

いいえ
あなたが そばに いても いなくても
あなたを 想うだけで 胸がいっぱいに なること
あなたを 想うだけで 心が おだやかに なること

「3・11」 で あのひと と 出会った
あのひと は わたしの 希望だった
でも 「フクシマ と 共倒れはできない」
「わたしのこころに あなたはいない」と 言われた
泣いたよ 苦しんだよ  
でも 苦しんだのは あのひとも 同じ

その ひとは 教えてくれた
祈り という名の 希望
祈る という ひとすじの みち

諸行無常
しあわせも ふしあわせも
自分の こころが 決めるもの
ふしあわせの 中にも 
しあわせの かけらは 見つけられるんだよ

あなたが そばに いなくても
生きていて くれるだけで
わたしは しあわせ

そう ありたいな
いつまでも 未熟もん だな
でも これが わたし なんだな

(2013年12月30日)





[PR]
by johnny311 | 2015-02-28 11:21 | 第3集

「生まれた 意味って」

わたしね
生まれる 前の世界のこと おぼえているの 
と あの人が 言う

ときどきね
帰りたいなあって 思うことがある

それって・・・ と わたしは口ごもる
それって やばくねえ
死んで あっちの世界に 行くってことじゃん

そうかもね
と あの人は ほほえむ

いつかは みんな 向こうに 行くよ
でも この世には やることがあって 生まれてきたんだろう
それを 見つけなくちゃ

食べるものが なかったり
戦争や 放射能で 殺される
生きたくても 生きられない ひともいるんだよ
だから 大事に生きようよ
って 言ったら

そうだね 
と あの人が ほほえんだ

うまく 言えないや
でも 生きていて 欲しいんだ あなたに
わたしも 見つけたいんだ
生まれてきた わけを

(2013年11月10日)





[PR]
by johnny311 | 2015-02-27 22:21 | 第3集

「いもうと」

避難する日
抱き合って 別れる 父と子の 紙芝居
その絵に 目をやらず テーブルに 目を落としたまま
全身で 聞いている 妹 よ

おめえたちの 父ちゃんは 鉱山(ヤマ)で 組合 やっててな
レッドパージに 引っかかり 平舘へさ 下りてきた
魚屋 やってみたものの いつしか 出稼ぎ 転々と
最後は 豊田で 野垂れ死ぬ
皆さ 世話かけてな ろくなもんで ねがった
ぐち聞かされる 小学生の 背負う 米の重さよ
その兄と 母を 玄関先で待つ おかっぱ頭の 妹よ

ここにいたら つぶされる と オレは思った
なんも してけれながったんだもの
おめえの 好きにすればいいさ と 母っちゃは 言った
母っちゃの世話 妹に押し付けて 兄きは横浜さ 出ていった

あれから10年 それから10年
親父よりは 生きたけんど 息子も いつしか 活動家
生まれ故郷の 岩手で 「福島のいま」 語ってら

お兄ちゃんたちが 体験したこと 伝わりました
原発ハンタイ もっと言っていいと 思う

詩集 母ちゃんに 渡しとくね
たまには 電話してください
来年は 八十八歳 米寿だからさ
みんなで 孫も連れて 集まろう
お兄ちゃんは 絶対に 時間 作ってね

オレは ただただ 頷く ばかりだった

(2013年11月28日)









[PR]
by johnny311 | 2014-12-31 00:48 | 第3集

「イルミネーション」

雪は ふる ふる
雪は ふる
陣屋通りに 雪は ふる

街路樹に かけられた 
「がんばろう 福島!」の イルミネーション
きれいだない 美しいない

雪で ぼんやりの イルミネーション
放射能が 光ったら こんなんかな
このまま 雪の下に ホウシャノウ
閉じ込められたら いいのにな

そしたら 雪だるま 作って
ソリすべりして カマクラ こさえて
中で もちを 焼いて 食べんだ
ちっちゃい 時の ように
原発事故の 前のように 遊ぶんだ
ね いいでしょう  楽しいでしょう

イルミネーションの 下
雪の空を 見上げていると
そのまま 宇宙に 吸い込まれそうだ

雪よ ふれ ふれ
もっと ふれ
放射能を 凍らせろ

(2013年12月18日)

d0320318_20063391.jpg









[PR]
by johnny311 | 2014-12-27 20:03 | 第3集

「たましいになった ブチ」

秋の山の朝、牧場のはずれのナラの木の下には、まもなく息を引きとる一頭のポニーが横たわっていました。なまえはブチでした。まわりには、ブチをみとるために仲間のポニーや馬たちが集まっていました。少し離れた山の斜面には、二日前に死んだポニーもいました。
朝日が昇るころ、最後の息をしてブチは死にました。少し目をあけたままでした。ブチの体からたましいが離れるのを見とどけると馬たちは 牧場のあちこちに散らばっていき、草を食べたり 水を飲んだりしていました。
でも、ブチのたましいはまだ牧場にいました。まだ、仲間と一緒にいたかったのです。それに、エサ場の近くにはもう一頭、立てなくなった仔がいて、みんなはその仔もじきに死ぬことがわかっていたのです。ブチはその仔が死んだら、一緒にたましいのふるさとに行こうと思っていたのです。

その仔は今年、生まれた仔でした。今年、生まれた仔たちはなぜかバタバタ死んでしまっていたのです。でも、ブチや親馬たちは知っていたのです。それは「光るもの」のせいだということを。

ブチが生まれた次の年の春、とてもとても大きな地しんがあり、「ゴォー」という山なりがして、立っていられないくらいゆれ、雪がふりました。次の日、南のほうで「ドーン」という雷のような音がして鳥やけものたちが逃げてきました。それから人間も逃げてきました。何日かして山の牧場には雪がたくさん降りました。その雪の中には月夜茸のようにあやしく「光るもの」がたくさんまじっていました。親馬たちはそれが「毒」だということを知っていました。でも、柵があって牧場からはでられません。「光るもの」は草につき、沢の水にとけ、ブチたちのからだにもたくさんついて光り続けていました。でも、ブチたちはその草を食べ水を飲み、「光るもの」がおおっている地べたで眠るしかありませんでした。

夏が近づいたころ、おおぜいの人間が西の方へ逃げて行き、あたりは静かになりました。山からはサルたちが下りてきて、人間の畑を回っていましたが、食べるものが何もないと山に帰って行きました。やせて目がギラギラした犬も見かけました。
南から来た鳥たちが、たくさんの牛やブタが野原や町の中を歩いていると教えてくれました。でも、つながれた牛はおなかをすかせて死に、犬やネコもたくさん死んだと話してくれました。でも、ブチの牧場主は馬たちに干し草をはこんでくれていました。知らないポニーも運ばれてきたりしていました。
次の年に、ブチたちはからだがおかしくなっていることに気づきました。足に力が入らないのです。走ることができなくなり、やたらとのどがかわき、食べてばかりいるようになりました。
そして、今年、生まれた子馬たちはつぎからつぎへと死んでいくようになりました。牧場の人たちが調べにきて「なにかおきている」と話していました。ある日、マスクをつけた人間たちがやってきて、死んだポニーを見てこう言いました。

「この仔たちはこうやって、私たちにホウシャノウの被害を見せているんですよ。人間の代わりに人ばしらとなって」と言って泣いて手を合わせました。

たましいとなったブチは牧場の上から回りをながめました。紅葉に色づいた山々が見え、空は風が吹いていました。でも、南からの風には悪いにおいがまじっていました。
村ではマスクをした人間たちが田んぼの土をはがして黒い袋につめ、うず高くつみあげていました。袋の中には「光るもの」が入っていました。「光るもの」はどこへいくのでしょう。

(2013年11月18日)






[PR]
by johnny311 | 2014-11-12 12:17 | 第3集

「人ばしら」

昔 水俣生活学校
いまは 福島スタディツアー

飯舘村の 細川牧場
えさを 喰む ポニー 
その向こうの 木の下に横たわる 影

もしや 
柵をこえて 斜面を登った
 
空を 舞う カラスの 群れ
つっつかれ 骨身を さらす ポニー
ここにも 向こうにも

この 仔たちは こうやって
放射能の被害を 見せているんですよ
人間の代わりに 人ばしら となって

そう言って カトリさんは 手を合わせた
立ちつくす マスクをした 人間たち

人と 馬と どれほどの 違いがあるのか
これが 明日の わが子と 思えないのか

昔 水俣病という 公害がありましてな
いまは 福島病としか言いようのない 奇病がありましてな
2011年3月11日の 地震から
やたらと ヒトが 病みまする

(2013年11月5日)


d0320318_22240156.jpg











[PR]
by johnny311 | 2014-11-05 22:24 | 第3集

「梅肉エキス」

身ぶるい するほど 酸っぱくて
おかげで お腹は すっきりと

広島 三次の 梅じゃけえ
うちの 愛も 入っとるし
放射能も 出るけえね

にっこり 笑う そのひとも
関東からの 避難民

福島なら わかるけど  なんで 東京 逃げてきた

東京だって  安全じゃないんよ
愛しい この子を守るため  西へ 西へと 広島へ
不安やったよ 泣いて 暮らしとったよ
でもなあ いまは ようやく 落ち着いて
保養のひとの お世話する

福島の梅では 作られんて 聞いてね
どっさり作った 梅肉エキス
みやげに持って いきんさい
セキさん どうか 生き抜いて

おれって 影 うすいのかな
でも 大丈夫 生きられる 気持ちも たくさんもらったし

酸っぱい梅肉 なめながら
マキさんの 言葉 想いだす

(2013年10月24日)









[PR]
by johnny311 | 2014-11-04 00:53 | 第3集

「明るい ビンボー」

おらは ビンボー
明るい ビンボー
エイゴで エコロジストって 言うんだぞい

だども
ゲンパツ 爆発 してからは
コメも 野菜も 作られねえ
マキを 拾って 火もたけねえ

おらは ビンボー
ますます ビンボー
世間では ゲンパツ難民って  言われてんだぞい

だども 生きねば なんねえ
生きて 生き抜いて 明るい ビンボー やんねば なんねえ
おらが 明るく なるには 希望のあかり ともさねば なんねえ

おめさんよ  ヒトゴロシのあかり 欲しがったら
東京の ど真ん中さ ゲンパツ 建てたらいいべしさ
こっちさ来て 暮らしてみたら いいべしさ

どうか おめさんがた
おらたちに あかり わけて くなんしょ
おらたちも
おめさんがたを 照らしますから

(2013年10月25日)

d0320318_22414798.jpg



[PR]
by johnny311 | 2014-10-26 15:56 | 第3集

「干し柿」

d0320318_13471721.jpg


陽だまりに 柿が 捨てられて おりまする

ことしは ためしで 出荷するってよ
出ねえ だべか  セシウム
測ったもん 出すんだよ  福島産でなくても 出てんだよ
食えんべか
福島のひとが 食わねえで  他県のひと 食うわけ ねえべしさ
そうだべか

最初の 年は 木の皮 はいだ
白い肌から 木の汁 出てなあ
痛がったべなあ 血 みてえなもんだよ
いまは だいぶ 皮になった

木の皮 はいで 除染してもなあ
3000ベクレルの 切り干し大根 みてえに
干してるときに くっつかねえか
おら いま マスクなんか してねえけんど
空気さ いっぱい あるってことだべ

ガラス戸の向こうの 軒先に
わずかばかりの 大根と 柿が
ゆらゆら ゆれて おりまする

きなりになった 干し大根
煮付けにしたら うまかんべ
アメいろ なった はちや柿
コタツで 食ったら うまかんべ

(2013.10.20)








[PR]
by johnny311 | 2014-10-10 13:43 | 第3集

「海だまり」

d0320318_17592055.jpg

あれは 山なみ?
いいえ 島なみ 

尾道の カフェテラス
水たまりのような 海を
船が かもめが 行ったり 来たり

ふいに 浮かぶ 三陸の
廃墟の学校 裏手から
山すその墓地 その向こう
海まで広がる 水たまり

あれは 湿源ですか?
いいや 地面が沈んだ 海だまりさ

海だまり 斜めに切り裂く その道は
まるで 黄泉へと 向かうよう
みぎの海には 畑があってな
ひだりの海には ひとがおってな
いまは 水鳥が群れをなす 海だまり

穏やかな 10月の風が吹く
尾道の カフェテラス

ここは 津波は 来ないの?
来るさ 地震 起きれば どこでも

鳥は いいなあ
飛んで 逃げられて と
あなたが つぶやく

海を 恨んでも しかたねえが
原発さえ ねがったら 
ホウシャノウさえ ねがったら と
だれも 言う

(2013年10月22日)








[PR]
by johnny311 | 2014-10-03 17:50 | 第3集