詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

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「ありがたい 朝」

朝のこたつの上 ユラユラの みそ汁
窓からは ポカポカの お日さま
あったかくて ありがたい
部屋の まきストーブよ
あの日から 出番 無く
物置く台となっては 切なかろう

ピコピコと ケータイ
セキさんの 気持ち抱いて
避難者の全国ネット立ち上げに 参加します と
ハセガワさんからの メール

拾ったまきで 暖を取れなくなった家に
陽が さすだけでも ありがたい
東京への旅費がない わたしの
思いを運んでくれるだけでも ありがたい

朝げのしめは ビセイブツ入りの番茶
そのせいか この頃 お腹が痛まず ありがたい
天気よく 風もないから
きょうは 洗濯物を外に干そう
きっと 放射能も飛んでこない

ありがたい ありがたい
ありがたくて 切ない
いつもの 福島の朝が始まった

(2015年10月28日)







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by johnny311 | 2016-06-24 10:09 | 日々の詩2015年 | Comments(0)

「なじみの女」

なじみの女に 会いてえなあ と 男が言う

うす暗い 佐渡金山 鉱道のテーマパーク
離れようとすると また
なじみの女に 会いてえなあ と引き戻す
何十もの 声なきヒトガタの中で
その男だけが こうつぶやくのだ

わたしは 男に
おめさん 本当は何を言いてえのですかと 尋ねると
男は遠くを見やるように ただ
なじみの 女に 会いてえなあ と言うのだ
許されたのは この言葉だけ

わたしは目をつぶり 耳をふさぐ
火皿のもと坑道をうごめく いく百 いく千 いく万の
下帯ひとつの 水替え人足が見える
国に帰りてえなあ と無宿人の
主よ マリアさま とキリシタンの
アボジ オモニ と 朝鮮人の
無数の 声なき者の慟哭が聞こえる
わたしは手を会わせ 祈った
逃がされぬ 福島の子どもたちを思った

坑道の外はキラキラの紅葉
山の上は 青いあおい空

通訳のキセさん みやげ物屋で買った金箔入りのお茶
追悼の踊り サンチョク舞踏団の
交流会でいただくため
たしかに 佐渡らしいね

(2015年10月20日)


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by johnny311 | 2016-06-21 20:57 | 日々の詩2015年 | Comments(0)

「戦争の配給」

戦争の配給 ついてくるお米
食らった者は みな 狂う

ぼくは 大きくなったら リクグン グンソウになって
おクニのために はたらきます
わたしは ジュウグン カンゴフになって
ジュウゴの守りに つとめます
先生が 前に立った
下を 向いたままのテツオ
「なぜ だまっているんだ」 バシっと 平手打ちがとぶ
よろつく小学1年生 ふるえあがる教室
アイツ なんでこたえないんだ 非国民め
うまく言えば ぶたれないですんだのに
少年は 毎日 まいにち
死にたい 死にたい と つぶやいていた

テツオが死ななかったのは 「終戦」という配給があったから
少年が生きられたのは 「平和憲法」と「民主主義」が配給され
そこには 人間の切ない望と いのちの糧があったから
テツオさんは それをなめなめ 生きてきた
ジージになっても 車いすの 難病の障がい者となっても
オレの目の黒いうちは と 平和をこさえてきた

セキさん 福島はどうですか

あれから4年7カ月 自死の人 増えまして
心 病んだからでねえ 逃がされね 保障も打ち切られる
追いつめられて 死ぬしか ねぐなっているのです
安保法 強行採決させて
原発と軍需産業で まんま食う国になりたくて また
戦争の配給 始まってるんで ねえべか

(2015年10月14日)

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by johnny311 | 2016-06-19 22:24 | 日々の詩2015年 | Comments(0)

「タンタ スコ スコタン」

タンタ スコ スコタン
タンタ スコ スコタン
提灯祭りの お囃子が聞こえる
祇園 シャギリに てんやくずし
行ってきまあすと 坂道をかけて行く レン

3日も学校休むんだよ と お母さん
一年に一回じゃねえか と どなる息子
わかった 学校には自分で言うんだよ
黒のダボシャツ 黒の股引き 地下タビ ねじりはちまきが
これがお前の晴れ姿 太鼓台に 乗れぬお前の 精いっぱい
きばって ヤーレヤーレと 祭りを盛り上げてこい

今年はお天気よくて 何よりでした
セキさん まめに戻ってきっせよ と 紋付 袴のサトウさん
ありがとうございます 
そっと ポケットにしまう 線量計
お祭りだもの 人もいっぱい ほこりも立つさ
ホウシャノーも上がるさ だどもな
二本松で育ったお前のこころ つぶす訳にはいかね

タンタ スコ スコタン
タンタ スコ スコタン
祇園 シャギリに てんやくずし
祭り囃子が 遠くなる
ワタアメ たこ焼き もんじゃ焼き
夜店キラキラ 松岡通り
あれから4年と7カ月 マスクの人は もういない

レン 12時には戻ってこ
朝には 米沢さ帰るぞ

(2015年10月6日)


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by johnny311 | 2016-06-17 13:13 | 日々の詩2015年 | Comments(0)

「ヒバク者の歌」

どうせ やんなら
やりたいように やっぺ
次 ねぐなったら ねぐなったで かまわね

駅前の 復興イベントの 隅っこのステージ
男は 声 ふりしぼって
「原発いらない いのちが大事」って 歌った
それから
甲状腺ガンになった子どもの歌
汚染土を 持ち主に返しにいった歌
満月を仰いで あのひとのことを想った歌
私たちはどこから来て どこへ行くのかの歌を 歌った

青い空 戦争法反対の街宣車
パチンコ屋のマーチ 流れゆくひとたち
それでも 立ちどまり
じっと聴いてくれた おばちゃんいたから
あれこれ言う 責任者いなかったから
男は最後まで歌えて幸せだった
幸せだったけれど ヒバク者の歌 聞いて
街のひと 幸せになれたかなって思ったら
ちょっと 切なくなった

(2015年10月4日)


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by johnny311 | 2016-06-08 22:12 | 日々の詩2015年 | Comments(0)

「いのち いただく」

足 しばり こわきにかかえ
思いっきり 首 ひねった
キャーという悲鳴
すぐにダラン と するはずが
バタバタしていて まだ 生きていて
おれは 汗ダクでしめ続け ようやく
ニワトリを つぶしたんだ

トリ一羽で こうだよ おめさん
戦争で ひと殺し できっか

逆さにつるし 首を切って 血 ぬいて
おれ こんなの見たら 食べられないよ
カラ揚げ 好きなのにと アベくんが泣いた
いいんだよ それで

熱湯につけ 羽根をむしって 切り分けて
だんだん 肉になっていく ナ・キ・ガ・ラ
むね肉 ももは 焼き鳥に 手羽先 モツは みそ煮込み
ガラはスープにしようか
おいしそうだねって あきちゃんが言った
いのち もらったんだもの ぜんぶ食わなきゃ バチあたる
いただきますと 手を合わせ
おいしいって言う子 食べられないって言う子
いいんだよ それで

保養に来た きみたちに
もう ヒバクはさせたくない
戦争にも 行かせたくない
だから 今日は
いのち まるごと いただく料理

(2015年10月1日)

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by johnny311 | 2016-06-05 12:34 | 日々の詩2015年 | Comments(0)

「失業者」

福島の 六十すぎた 失業者
あるよ 除染の 仕事なら

情けなくねえか
しゃくでねえか
いっぱい ヒバクさせられたんだぞい

おれは 保養だの 外あそびだの
子どもを守るごど なんとか仕事にしてえのさ
あと何年 生きられるか
わかんねえからやりたいのさ
 
失業中のヒバク者は
広島から届いた栗を ポリポリ かじりながら
福島を助けてください
保養を助けてください と
パソコンの向こう側の人と
神さまに 呼びかけたんだ

東の 暗い山からのぼる
大きな お月さまにも お願いした
だから きっと 願いは届いたんだ

(2015年9月29日)








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by johnny311 | 2016-06-04 19:18 | Comments(0)