詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

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「イエスタディが流れて」

5時の貝塚の集落に
イエスタディが流れてきたから
子どもたちよ 火をたこう

太陽と大地と 海のめぐみと
私たちを守ってくれる すべての存在に感謝して
いただきます を言ったら
おいしく 晩ごはんをいただこう

東の 黒い森の上を流れる銀河の底から
星たちが 今夜も浮かび上がってきたら
たき火を囲んで 空を見上げよう
あれが白鳥座 あの赤く燃えているのがサソリの心臓で
屋根の向こうは おおぐま座

海で 魚つかまえた
セミの羽化も見られたよ
ねえジョニー 来年は中学だから
保養キャンプこれないかも と サクラがポツリ
みんなは あした福島へ
甲状腺ガンの子ども 173人になった福島へ

また へっついの家に来てな
わたしはいつも ここにいる

(2016・8・6)







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by johnny311 | 2017-07-30 10:36 | 日々の詩2016年

「アフリカのおかあさん」

アフリカの 大使夫人が
へっつい家の こどもの支援にやってきた

ここではね
朝 ふとんあげとぞうきんがけ
ごはん食べたら お茶わん洗い
それから お外で遊ぶんだ
海からかえったら マキでおフロをわかし
晩ごはん食べたら またお茶わん洗い と話したら

わたしが子どものころ
日が のぼる前におきて 家のまわりをそうじして
それから 20分歩いて水くみに
頭にのせて運んで 30分
それから 学校へ行きました

おかあさんが キャッサバ作って
わたしは 学校に売りに行き
ためたお金で学校に行ったけれど
いろんなことを 教えてくれた
おかあさんに感謝しています

初めて聞く アフリカの子どもの話
福島の子どもたちが じっと聞いている
お礼に「ビリーブ」と「世界中の子どもたちが」を歌ったら
お返しに アフリカのおかあさんが
「花は花は 花は咲く」と 歌ってくれて
みんなも いっしょに歌ったんだ

(2016・8・2)






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by johnny311 | 2017-07-23 18:32 | 日々の詩2016年

「ネアンデルタールの花」

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わたしは たちあおい
ネアンデルタールの たむけの花

ひっそりと ひとりで逝った男にも
きっと さまざまな物語があったのだろうが
何も語らず 誰も知らず ただ
そのひとがいたという あかし

きれいだね と足を止める
すっと 夏の陽ざしに立つその姿は
どこか 卒塔婆のよう でも
風にゆらゆら 虫はブンブン
やがて 種がこぼれたら
たくさんの子どもたちが 芽を出す

わたしは たちあおい
ネアンデルタールの たむけの花
花が咲いたら 
わたしがいたことを 思いだしておくれ

(2016年5月24日)







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by johnny311 | 2017-07-14 23:40 | 日々の詩2016年

「いっぱいの春」


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棺おけに入って 4日目
だんだん 
ガイコツになっていく ばあちゃん

別人だね
ああ ひと月も病院にいて 痩せた
それに たましい抜けたからな
でも 祭壇の 写真のばあちゃん ニコニコしてて
ほら いまも そこらにいるんだよ

葬儀場から おもてに出ると
山からの風 ドォーと吹いてきて
桜の花びら 滝みたいにザザーと流れて
土手の 黄色いタンポポ ゆらゆら
谷地の桐の 芽吹いた葉っぱも ゆらゆらしてな
見上げる 青い空の向こうは 白い 大きな岩手山
ここいらさも 放射能は降ったのだ

明日は ばあちゃん 焼き場さ行くが
平舘は ちいさな春でいっぱいだった

(2016年5月8日)






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by johnny311 | 2017-07-12 09:19 | 日々の詩2016年

「みとりびと」

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ばあちゃんは 盛岡の病院で 死ぬるしたく
目つむって あの世とこの世 行ったり来たり

石割り桜 満開で いやあ見事だった
九州で地震 多発だけんど ゲンパツは止めねえってさ
むくんだ指もみながら 年寄り息子は
ゆっくり みとるしたく

多発と言えば
本宮のチャーリーは心臓病
二本松のサクマさん 白血病
飯舘のじいちゃん 首吊って
寿命か放射能か 心の病なんだか
あいまいな感じで死ぬ人 まわりでは多くてな
おめさんがたに
なじょな言葉 たむけたらいいもんだか

九十のばあちゃん 逝く仕度
あっちとこっち 行ったり来たり
息子はきょうも みとるしたく
向こうさ行ったら ゆっくり休んで
また 生まれてきてくなんしょ
明日
わたしは 誰かの みとりびと

(2016年4月28日)



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by johnny311 | 2017-07-10 06:37 | 日々の詩2016年

「七時雨の風」

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東に向かえば 田代山
西に登れば 七時雨

ひろびろの鞍部の 枯れ草の下は みどり
牧野の道を 二合目まで登り
大きなブナの木にもたれて 田代平をながめた

ようやく芽吹いた林の下を
雪解け水が たてと横に流れ
ずっと向こうの 姫神山のあたりで
北上川になるのだな

おれは 小学校の遠足のような 愉快な気分になったのだが
病院で横になっている 年老いた母親
佐渡から 福島に戻った子どもたちを思い出したら
なんか切なくなって そっと 手 合わせた

さやさや 山からは風
さらさら 水のにおい
足元でゆれる カタクリの花

ゆっくり 草原を下りながら
おれは あのひとを 思い出していたんだ

(2016年4月26日)






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by johnny311 | 2017-07-09 11:15 | 日々の詩2016年

「大変なのは」

わたしたちを 追いださないで と
避難者が 震えながら言う

甲状腺ガン 多発は事実
でも 放射能とは考えにくい
なんなら 心のケアもありますから と
専門家が やさしく言う

練馬で 何ベクレルありますか
東京で子育てできますか と 東京の母親がたずね
汚染は東日本一帯
保養にいきましょう 土壌マップ作りましょう
国がやらないのだから と 支援者が言う

すると
あんたらは 助けてくればっかり
大変なのは 福島だけじゃねえんだ と
通りすがりのひとが言う
福島から来たおとこは
いまは米沢に暮らす 息子が
泣きながら避難した詩を詠んだのだが
悪態をついたひとは もういなかった

大変なのは 大変なのは
福島だけじゃないよな
大変なのは あんたもおれも

(2016年4月13日)

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by johnny311 | 2017-07-08 08:16 | 日々の詩2016年

「イモムシから サナギへ」

あなたは いつも大変なほうを 選ぶ

そうかな 原発止めることも
保養も 灰の行進したことも
そうするしか なかったんだよ

そうするしかないと 言いながら
大変なほうを 選ぶ

そうかな
でも そう言われると
なんか 悲しい気持ちがする

あなたはずっと 不安の世界の住人
不安をなくすため がんばって生きてきて
でも からだは 悲鳴をあげていて いま
魂は からだから離れようとしている
病むのは 放射能のせいだけではない
お望みなら
その身を終わらせることも できるのですよ

あなたは いま
安心の世界の住人に なろうとあがいている でも
イモムシがサナギになるのに 苦しむだろうか と
魂の水先案内人

アイロンで お腹を温めながら 思う
わたしのお腹が ときどき痛むのは 
イモムシからサナギになる
脱皮の反応なんだろうな

(2016年4月11日)



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by johnny311 | 2017-07-07 07:57 | 日々の詩2016年

「あったかいうちに」

あったかいうちに
生きているうちに と かけつけた
夜中の 岩手医大 救急救命センター

やせて 小さくなった 母ちゃん
あんぐり開けた口に管 点滅する指先
目 とじたまま 息 ヒュー ヒュー
いたましねえのお

「母ちゃん みんな来たよ 目あけて」と 妹が耳元で呼んで
「おばあちゃん 早く元気になって」と レンが泣いて
おれは 母ちゃんのひたいに手をあて
むくんだ手を握って話しかけた

いままでありがとな
母ちゃんの 子どもでいがった
さっぱり 親孝行しなくて悪がったな
苦しいべな もう少しだから
じき 光 見えっから そしたら
明るいほうさ行けば だいじょうぶ

原発事故の後 母ちゃんから手紙きた
「ヒサオ 具合悪いって聞いたども ホウシャノウだべが
おめえも爺さまの年だけんど オラより先に逝ってはわがね これは約束」
ドックンドックンの脈 あったかくて ふくれた手
いたましねえのお おれは 母ちゃんが苦しまねえで
ふわっと 魂の世界に行けるよう祈った

明け方 母ちゃんは持ち直したが やはり時間の問題と
いまはゆっくり 死ぬる仕度
おれは 受け入れる仕度
あったかいうちに 生きているうちに

(2016年4月3日)



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by johnny311 | 2017-07-06 07:21 | 日々の詩2016年

「夏休みになりました」

とりあえず ジミン
とりあえず目先の金 と選んだものだから
アベ政治は やりたい放題

高江で座り込む人に 警察の車のしかからせ
青い制服が女の人の首に縄をかけ 車の上から引きずり降ろす
しかたない しかたない 上からの命令だ

原発を再稼働させ 戦争を産業化します
格差なぜ悪い 自己責任でしょ
ビンボー人は ヤバイ仕事で飯を食え!

障がい者は いないほうがいい と
殺された19人と 深い傷を負った26人
痛かっただろう 恐ろしかっただろう
でも 国は何も言わないものだから
みんなは ポケモンを探しに行くんだ

福島の米は安全です でも 買ってくれなくて結構
もう 保養は必要ありません これからは交流
お礼に子どもさん 福島に招待しますから
暗い7月
遠くから近くから うめき声が聞こえた
 
夏休みになって
わが家は 隠れキニシタン
近所にだまって 保養に行く
青い青い 佐渡の海
砂浜で 寝ころんでも叱られない
ほら おさかなが はねたよ

(2016・7・30)



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by johnny311 | 2017-07-05 08:07 | 日々の詩2016年