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詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

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「ゆっくりと坂道をくだって」

「5分くらい 待ってて」と 言い残して
お寺の 坂道を登っていった 

5分過ぎ 10分過ぎても 戻らない
「もう 行くよう」 と呼んで 坂道を登ると
二本松の街並みが ぐるり見える
大きな桜の木の下に 佇んでいて

ほら あの 大きい建物は市役所で
あの 大きな煙突は 千功成の造り酒屋
その下の道を 南小に通ったっけ
提灯祭りの 太鼓台で
松岡通りを ねり歩いたっけ と
中3になった息子が なつかしそうに 言うものだから
おれも 黙って 街を眺めた

「もう 行くよう」の お母さんの 声
さらさらと 桜の花びら 流れ
ゆっくりと 坂道を 下りていく 息子のレン
ガランとした境内 道ばたのタンポポ
家の後ろの 乗らなくなった自転車

思い出を 確かめ レンは
避難先の米沢へ 帰っていった
さらさらと 桜の花びら 流れる
坂道を 下って

(2014年4月20日)





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by johnny311 | 2015-03-14 14:46 | 第4集 | Comments(0)

「プレゼント」

帽子 手ぶくろ くつした 絵本
おまけは 白い チョコレート
これは こどもへ プレゼント

帽子 手ぶくろ くつした 手紙
おまけは 細身の メントール
これは あなたへ プレゼント

ごめんね 
とりあえずの プレゼントで
クリスマスには 届くよう
コンビニの サンタに 頼んだから

暮れには みんなに 会えるよう
あなたの 傍に いられるよう
夜空 見上げて 祈ります

願った ことは
叶えられた ことと 思いなさい
これは 神さまの 言葉

福島に 残る わたしに
トマムの モニカが
プレゼント してくれた

雪の花 きらめく
マイナス 20度の 北の大地から

(2013年12月23日)





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by johnny311 | 2015-03-01 10:23 | 日々の詩2013年 | Comments(0)

「息子よ」

うで立て 腹筋 ダンベル けんすい
見てみて オレ 筋肉 ついたでしょう  と
二の腕 見せる 息子

おめえは 筋力 よりも 知力 つけな
通信簿 2が ふたつも あるじゃねえか
ふん 明日から 冬休みだ バンザーイ
ねえ ねえ お父さん 腕ずもう やろう

いま いそがしい
なに やってんの
ゲンパツの 損害賠償に 出す
田んぼの 写真の 印刷

ああ 二本松の 田んぼだ
あの頃は 楽しかったね  と 息子が言うものだから
おれは 思わず 泣きそうに なった

田植え 草取り 稲刈り と
息子を 連れて 行ったっけ 
天日干しの お父さんの お米 おいしいねと
息子が 言ったっけ
 
それから 何食わぬ 顔して 腕ずもう
結果は 親父の 5連勝

望みもしない 米沢暮らしも 3年目
学校休むし 反抗期 
勉強はきらいで ケータイ はまっているけれど
サッカーは がんばって やっているよな
だからさ 知力つけろ って 
もう 言わない
いまは 得意な 筋力つけて
元気で 生きてりゃ それで いい

(2013年12月26日)

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by johnny311 | 2014-06-24 17:36 | 日々の詩2014年 | Comments(0)

うらやましい

私は みなさんがうらやましいです
マスクをつけずに 空気が吸えることが
私は うらやましいです
家族や友人や 地域の人と別れずに暮らせることが
私は うらやましいです
普通に野菜や魚 お米が食べられ 水が蛇口から飲めることが

山や川で遊び グラウンドをかけ回り 虫や犬や草や木にふれることができる
春は山菜をいただき 冬は薪(まき)で暖をとる 落ち葉やわらでたい肥をつくり
自然と共に暮らしていける 当たり前の暮らし が うらやましい

私は みなさんがうらやましいです
子どもを たった一人で 見知らぬ土地へ送り出さなくていいことが
避難をめぐって そんなこどやっこどねえ と言い争い
家族が バラバラになることがないこと
家族 友だち ふるさとを捨てなくてもいい暮らしのあることが

でも うらやましがっていても詮ないことです
私と私の家族は そんな道を進んでいくしかありません

どうか できるところでかまいません 福島を助けてください
そして 原発を止める動きに 立ちあがってください
なぜなら、この日本列島に暮らす限り 震災は免れません
そして 原発事故に備えてください
家具は倒れないように ガソリンや水 食糧 合羽を用意してください
必ず地震は起きます 10年後かもしれないし 明日かもしれません
誰の上にも 放射能は降ってきます
だから支え合う仲間とつながってください
あなたと あなたにつながる すべての人を守るために
福島の教訓を生かしてください

(2012.1.20)

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by johnny311 | 2013-08-05 15:27 | 第1集 | Comments(0)

バイエルと晩ごはん

受験 間近の 娘の弾く バイエルを聴きながら
お父さんは 晩ごはんのしたく
青森産の大根に 新潟産のナメコで
おろし和えをつくります
ノルウェー産のサバの塩焼きに
ごはんは 佐渡のお米です
今年は とうとうサンマは食えなんだ

父と娘で いただきます
あした おばさんの引っ越しで
お母さん 来るんだって
ふーん
でも おばさん もう出たらしいよ
ふーん そうなんだ

母と息子は 米沢へ
長男坊は 南会津へ
来春 娘は 札幌へ
隣のおばさん 埼玉へ

お父さんはどうするの

そうだなあ フクシマに関わる仕事をしながら
でも ここは体にきついから
月 半分は佐渡がいいなあ
問題は 仕事だよ

晩ごはんを食べながら
わたしたち 家族は
静かに
出る 算段を めぐらしているのです

(2012.10.3)

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by johnny311 | 2013-07-22 01:39 | 第1集 | Comments(0)