詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

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「ヨウ素剤と昆布」

ひとつぶの ヨウ素剤が あったなら
よっつに わって お前たちに 飲ます
じゅっつぶの ヨウ素剤が あったなら
ひとつぶ ずつ お前たちに 飲まして
残りは 近所の 子どもに 分ける

お父さんは どうするの
おれは いつも
昆布を 食べているから 大丈夫

あの日 ゲンパツ 爆発し
ヨウ素剤を 求め かけずり回った 母親
だが 待てど 暮らせど 配給はこなかった

ようやく 手にした バイオ燃料で
お前たちを 所沢に 送り出した あの日
死の灰も 一緒に 南下した というではないか

「ただちに 人体に 影響が出るものでは ありません」
「こどもを 外で遊ばせても 大丈夫」 と 言いながら
医大の人たちは  こっそり ヨウ素剤 飲んでいたってね
誰にも言うなって 口止めされて いたってね

ああ そったに ヨウ素剤 欲しかったんだべか
ああ そったに わがだけ 助かりたかったんだべか
ウソをつくと 苦しむって わからなかったんだべか
ああ そん時から オラたちは 見捨てられていたんだべか

あれから 3年 甲状腺ガン 75人
うちの 子どもも A2だ  おめさん A2って わがっかい
のどに 水ぶくれが あるんだよ
もう 国なんか あてにすんな
ヨウ素剤なんて 待ってんな
昆布 食うべ 昆布 食って
生きのびて 見せんべ

(2014年2月23日)




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by johnny311 | 2015-02-24 21:33 | 第4集 | Comments(0)

「たましいになった ブチ」

秋の山の朝、牧場のはずれのナラの木の下には、まもなく息を引きとる一頭のポニーが横たわっていました。なまえはブチでした。まわりには、ブチをみとるために仲間のポニーや馬たちが集まっていました。少し離れた山の斜面には、二日前に死んだポニーもいました。
朝日が昇るころ、最後の息をしてブチは死にました。少し目をあけたままでした。ブチの体からたましいが離れるのを見とどけると馬たちは 牧場のあちこちに散らばっていき、草を食べたり 水を飲んだりしていました。
でも、ブチのたましいはまだ牧場にいました。まだ、仲間と一緒にいたかったのです。それに、エサ場の近くにはもう一頭、立てなくなった仔がいて、みんなはその仔もじきに死ぬことがわかっていたのです。ブチはその仔が死んだら、一緒にたましいのふるさとに行こうと思っていたのです。

その仔は今年、生まれた仔でした。今年、生まれた仔たちはなぜかバタバタ死んでしまっていたのです。でも、ブチや親馬たちは知っていたのです。それは「光るもの」のせいだということを。

ブチが生まれた次の年の春、とてもとても大きな地しんがあり、「ゴォー」という山なりがして、立っていられないくらいゆれ、雪がふりました。次の日、南のほうで「ドーン」という雷のような音がして鳥やけものたちが逃げてきました。それから人間も逃げてきました。何日かして山の牧場には雪がたくさん降りました。その雪の中には月夜茸のようにあやしく「光るもの」がたくさんまじっていました。親馬たちはそれが「毒」だということを知っていました。でも、柵があって牧場からはでられません。「光るもの」は草につき、沢の水にとけ、ブチたちのからだにもたくさんついて光り続けていました。でも、ブチたちはその草を食べ水を飲み、「光るもの」がおおっている地べたで眠るしかありませんでした。

夏が近づいたころ、おおぜいの人間が西の方へ逃げて行き、あたりは静かになりました。山からはサルたちが下りてきて、人間の畑を回っていましたが、食べるものが何もないと山に帰って行きました。やせて目がギラギラした犬も見かけました。
南から来た鳥たちが、たくさんの牛やブタが野原や町の中を歩いていると教えてくれました。でも、つながれた牛はおなかをすかせて死に、犬やネコもたくさん死んだと話してくれました。でも、ブチの牧場主は馬たちに干し草をはこんでくれていました。知らないポニーも運ばれてきたりしていました。
次の年に、ブチたちはからだがおかしくなっていることに気づきました。足に力が入らないのです。走ることができなくなり、やたらとのどがかわき、食べてばかりいるようになりました。
そして、今年、生まれた子馬たちはつぎからつぎへと死んでいくようになりました。牧場の人たちが調べにきて「なにかおきている」と話していました。ある日、マスクをつけた人間たちがやってきて、死んだポニーを見てこう言いました。

「この仔たちはこうやって、私たちにホウシャノウの被害を見せているんですよ。人間の代わりに人ばしらとなって」と言って泣いて手を合わせました。

たましいとなったブチは牧場の上から回りをながめました。紅葉に色づいた山々が見え、空は風が吹いていました。でも、南からの風には悪いにおいがまじっていました。
村ではマスクをした人間たちが田んぼの土をはがして黒い袋につめ、うず高くつみあげていました。袋の中には「光るもの」が入っていました。「光るもの」はどこへいくのでしょう。

(2013年11月18日)






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by johnny311 | 2014-11-12 12:17 | 第3集 | Comments(0)

「人ばしら」

昔 水俣生活学校
いまは 福島スタディツアー

飯舘村の 細川牧場
えさを 喰む ポニー 
その向こうの 木の下に横たわる 影

もしや 
柵をこえて 斜面を登った
 
空を 舞う カラスの 群れ
つっつかれ 骨身を さらす ポニー
ここにも 向こうにも

この 仔たちは こうやって
放射能の被害を 見せているんですよ
人間の代わりに 人ばしら となって

そう言って カトリさんは 手を合わせた
立ちつくす マスクをした 人間たち

人と 馬と どれほどの 違いがあるのか
これが 明日の わが子と 思えないのか

昔 水俣病という 公害がありましてな
いまは 福島病としか言いようのない 奇病がありましてな
2011年3月11日の 地震から
やたらと ヒトが 病みまする

(2013年11月5日)


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by johnny311 | 2014-11-05 22:24 | 第3集 | Comments(0)

「放射能はね」

放射能はね 核分裂して 生まれる
そいつはね
何でも 分裂させる 性質を持ってんだって

だからか 福島では
地域でも 職場でも 仲間内でも
対立や いさかいが 絶えねえ
いやなら 出ていけば とか言われるし

ああ
放射能 くっつかねえように してえな
神経質だとか セクトだとか 言われたくねえもん

ホウシャノウ 蛍 見てえに 光ればいい
そしたら 暗いほうさ 逃げられる

目を閉じて こころの目を 開く
落ち葉の裏 歩道の吹きだまり 秋の風の中
月夜茸 みたいに 光るものが そこかしこ

ほら いま 鼻先を かすめた

(2013年10月5日)

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by johnny311 | 2014-06-21 21:39 | 第3集 | Comments(0)

「どうして」

どうして 放射能は 見えないんだろう
見えたら ほら そこ
あぶないよ! って 教えてあげられるのに

どうして 本当のことは 聞こえないんだろう
死んだポニーは 語らない 
でも なきがらは
ぼくを見て! って 言っている

どうして 大好きなひとは 遠くに いるんだろう
近くに いたら 
いつも 手をつないで いられるのに

どうして どうして
大切な人は ここに いないんだろう
なぜ わたしは ひとり ここに いるんだろう

佐渡が島は へっついの家
夜の 庭から あおぐ空
オリオン 白鳥 カシオペア
遠くから 声が 聞こえたよ

それは あなたが 望んだこと
それは あなたが 求めたこと

ああ そうなんだ
わたしが 願った ことなんだ

なみだ ひとつ
星 ひとつ
流れた

(2013年11月8日)

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by johnny311 | 2014-06-20 00:41 | 第3集 | Comments(0)

うらやましい

私は みなさんがうらやましいです
マスクをつけずに 空気が吸えることが
私は うらやましいです
家族や友人や 地域の人と別れずに暮らせることが
私は うらやましいです
普通に野菜や魚 お米が食べられ 水が蛇口から飲めることが

山や川で遊び グラウンドをかけ回り 虫や犬や草や木にふれることができる
春は山菜をいただき 冬は薪(まき)で暖をとる 落ち葉やわらでたい肥をつくり
自然と共に暮らしていける 当たり前の暮らし が うらやましい

私は みなさんがうらやましいです
子どもを たった一人で 見知らぬ土地へ送り出さなくていいことが
避難をめぐって そんなこどやっこどねえ と言い争い
家族が バラバラになることがないこと
家族 友だち ふるさとを捨てなくてもいい暮らしのあることが

でも うらやましがっていても詮ないことです
私と私の家族は そんな道を進んでいくしかありません

どうか できるところでかまいません 福島を助けてください
そして 原発を止める動きに 立ちあがってください
なぜなら、この日本列島に暮らす限り 震災は免れません
そして 原発事故に備えてください
家具は倒れないように ガソリンや水 食糧 合羽を用意してください
必ず地震は起きます 10年後かもしれないし 明日かもしれません
誰の上にも 放射能は降ってきます
だから支え合う仲間とつながってください
あなたと あなたにつながる すべての人を守るために
福島の教訓を生かしてください

(2012.1.20)

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by johnny311 | 2013-08-05 15:27 | 第1集 | Comments(0)

死の灰の行方

受け取らないって言われたら
どうするの?
目の前の机に 土をバシッと置いて
ほうら 土だ けえしにきたぞ
うけどってくれろ
おめさんがたが 放射能を取ってくれたら
いつでも引き取るぞ
言うが早いか さっさと帰ってくる はずでした

皆さまの 声を受け止めて
汚染土はお預かりします と 若い経産相のお役人
すると
サキさんが こういった
これは15,000ベクレルの
船引実家の いろりの灰
200年の 団らん※の火が消えました

マツモトさんが こう言った
あのなあ 福島の人はなあ
みんな この灰の中に 暮らしておるで
灰 どうするか わからんが
せめてなあ あんたらのな
机の上に置いてなあ
灰をながめて仕事したら
本気で 仕事やれるかもしれんで

両手に灰をぶらさげた福田さん
どこに運ぶのかな
植え込みの陰?
第一原発?
それとも机の上

(2012.7.18)

※ 長年、家族団らんの中心にあった囲炉裡が、薪の灰の放射能の蓄積で燃やせなくなった。

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by johnny311 | 2013-07-27 00:31 | 第1集 | Comments(0)