詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

「阿賀野川」

山のあなたに降る雨は
只見に阿賀に そそがれて
流れ 流れて日本海

福島に向かう高速バスの窓から
水をかぶった田んぼが見える
夕べの雨 ひどかったからねえ とお客さん

昔 この川にドクが流されて
イタイ イタイとひとが苦しんで
このあいだ 原発事故で放射能が降って
磐梯山 川桁山 布引山にも降ってな 
木の葉っぱについて キノコが吸って ケモノガ喰って
雨のたんびに 山がけずれて 阿賀野川さ入って
おめさん すごい量のドクが
日本海まで流れてんだよ と 言いかけたら
おとなりさんは ウツラウツラ

おれは黙って 雨の上がった空見上げ
お祈りした
山のケモノ 川の魚 みんなのことをな

(2017年7月18日)


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# by johnny311 | 2018-07-15 20:20 | 日々の詩2017年

「ダイアローグ」

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タンタスコ スコタン タンタスコ スコタン
ヘイ ジャック!
伊達市の若連に呼ばれたフランス人は ステージヘ
バチを手に 器用に和太鼓をたたく
タンタスコ スコタン タンタスコ スコタン
湧き上がる歓声と笑顔
何とも言えない へんな気持ち
おいおい 歓待の相手 間違えてねえが

ふいに思い出す ヒロシマのいしぶみ
「安らかに眠ってください
あやまちは
繰り返しませぬから」

この目の前にいる人たちは アイ シー アール ピー
国際放射線防護委員会の人間
復興のためのダイアローグにやってきた と言っているが
オラたちを苦しみに突き落とした 原発推進の 
原子力ムラの者どもではねえのが
そったらごど言う オラはひねくれ者か

避難指示が解除され 生活の自由が戻ってきたというけれど
自主避難者の住宅支援は打ち切りで
自死した人の話もでてこない
未来を語りましょう
被害者でい続けることから何も生まれない
長崎、広島と比べて大騒動する話ではないですよ の住民の声
南相馬からきた男は
水と空気と土と 測らなければわからないと言ったのだが
復興に向かってがんばっている人たちの中では
たった ひとりだったのです
そういう作りの ダイアローグだったのでしょう
本当の対話は いつ始まるのでしょう
あなたと わたしと みんなとの

(2017年7月9日)


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# by johnny311 | 2018-07-13 19:55 | 日々の詩2017年

「ゆんべの 祈り」

夜中に おなか病みました
胆石があるのです
冷や汗ながして おなかをさすり
ああ 切ね
ゆんべは それに雨風吹いて
ボトボト 屋根さ 梅の実落ちて
ああ 眠れね

ノロノロ起きて 台所で水のんで
キューレイコンねって おなかに貼って
また横になって おなかにアイロンあてて
神さま どうか痛いの おさめてくなんしょ
こんなあんばいだど 保養 やれなくなりますから
まだ やることありますから と お願いしたのです

そのうち うつらうつらして
目 さめたら お日さまも顔を出していて
ああ 楽になった ありがたい だども
ラジオからは 九州の大雨のニュース
なんぼ切なくたって わがのごどだけでは わがねえ
大変なひとのことも考えねばなあ と 手合わせたのです
それから福島のことも あの人のことも お願いしたのです

(2017年7月5日)


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# by johnny311 | 2018-07-08 12:04 | 日々の詩2017年

「聞こえくる アヴェマリア」

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聞こえくる アヴェマリア
この前から おれの中で

から梅雨の 朝の草取り
梅もぎは おとなりさん ああ いいにおい
梅の酵素ジュースもいいな
セキさん 少し持ってがっせ
ありがとうございます だども 女房も米沢だし
そう言ったけんど やっぱ放射能がな
 
三日前
避難先の団地に届く 退去の通知
おれたちは 不法占有者
居たいなら 七夕までに手続きしろ だど
なあに 裁判所さ 行ぐべ
引っぱられで 思うごどしゃべるべ
だれのせいで こうなったってな
おめさんも 同じ被ばく者だべってな

なり響く アヴェマリア
この前から おれの中で ずっと ずっと
見守ってくなんしょ 
役目 はたさせてくなんしょ あなたさま
かかえている 腹の中の石
やるべきことやるまで 生きさせてくなんしょ
あなた さま

(2017年6月30日)


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# by johnny311 | 2018-06-25 19:17 | 日々の詩2017年

「ホイドの詩」

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トザイ トーザイ
ここに現れましたるは 原発難民にござりまする
3・11あの日から
死の灰 降らぬところ 溜まらぬところ 転々と
北に南に 東へ西へ 行った先々 口上を
何で 逃げねばなんねえがったのが
何で 保養を始めたか
不法占有 裁判にかけるとおどかされ
それでも 避難者でいることを
うたよみ 音曲 紙芝居 あれやこれやで
皆さまにお伝えするのです

除染の仕事でもやったら
セキよ おめえは放射能の不安をあおって
金をせびるサギ師だ と バトウする方もおりますが
国と東電のせいでしょ と 心づくしを下さるひともいて
なんとか生きながらえておる 言わば わたし
門付けの ホイドみたいなもんでござります
それでも詩を聞いて なみだ流すひともおられるから
ときどき マレビトになっているのかなあ

千年に一度の大震災に遭ったのだもの
フクシマ原発事故で 被ばく者となったんだもの
これを運命と受け入れて
おめさんがたの 街で むらで
子どもと離れて暮らすホイドの詩を
詠むべと覚悟したのでござります

どうか 呼んでくなんしょ
足代と 投げ銭で構いませぬから

(2017年6月25日)


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# by johnny311 | 2018-06-24 09:44 | 日々の詩2017年