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詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

「見えない世界」

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マイムのおじさん 凧 上げて

ビュンビュン 風切り 楽しそう

でも プッツン 糸が切れ ずうっと遠くに 飛んでって

ぼく なみだ 出そうになった

でも マイムのおじさん 凧に大きく手をふって

さよならしたから ぼくも そうっと手をふったんだ


白い帽子に白い服 パントマイムのおじさんは

いったい どこから来たのだろう

見えない世界から 来たのかな


見えない世界と言ったらね 佐渡 へっついの家の大広間

何かがいるみたい 座敷わらしかな と言ったら

そだ この家には見えないひと いるんだよ とジョニー

えっ こわい

だいじょうぶ みんなを守ってくれてっから

逢ったら お世話になりますって あいさつすんだよ


マイムのおじさん

ぼくね 春になったら保養に行くんだ

まきわりして お風呂をわかして

おかまでご飯をたくんだ

お茶わんによそって 神だなに上げ

それから タイサンボクの下で遊ぶんだ


(2019年12月8日)



# by johnny311 | 2022-03-30 09:40 | 日々の詩2019年

「にぎやかし」

「にぎやかし」_d0320318_11481033.jpg



お祭り広場の片すみで

ギターを ポロロン つま弾いて

えー にぎやかしで ございます

シャンソン 演歌に 歌謡曲 お客さん

一曲 いかがですか

あら じゃあ 「世界はふたりのために」


歌い終えたら チラシ出し

ハイ これは歌声サロン

呼んでください どこでも行きますよ

こっちは 春保養の案内で 休みになると 子どもさん

へっついの家に いっぱい来るんですよ


ふと 目をあげると

ゲッ シミズさんでねえが

保養は 差別につながると仰るセンセ

だども ニコっとして

こんにちは

向こうも 頭さげたが 目は笑ってね


福島の 市民活動フェステバル

クッキー コーヒー 地元野菜に さき織も

みんな 嬉しそうに笑っていて わたしは歌声 やっていて

でも この間の台風を思い出し

切ない感じになったのです


お祭り広場を 後にして

大仏橋を渡ったら 阿武隈川の泥 そこかしこ

乾けば ホコリで舞い上がる


(2019年12月1日)



# by johnny311 | 2022-02-25 11:49 | 日々の詩2019年

「いい世よ こい」


あの時は大変でしたね と よそから来たひと

はい と答えたが

あんたらに 何がわかる

あの時は大変だったね と 町内のひとに言われたら

うん そうだった と 答えられるのに

この差はいったい なんだろう

気仙沼の 青い海を見ながら 若い人がつぶやく


須賀川の はっぴーあいらんどフェステバル

原発事故の トークライブに出た学生

こう言うのも何ですが エネルギーの未来を考えると

原発も必要か迷います と言うものだから 思わず

ゲンパツは絶対 あってはなんねえ

オラたちがどんだけ辛く きつい思いをしたか

と 荒げてしゃべって 言葉につまった

あんたらには わからねえべな と黙ったが

いいや ちゃんと わかるように話せない

気の短けえ おまえこそ どうなんだ


はっぴーあいらんどフェスティバル

祭りは 地元に帰ってきた嬉しさが いっぱいで

被ばく者と 朝鮮人差別をつなげた芝居は すばらしく

イ・ジョンミが歌う 福島の歌には泣かされて

そして フィナーレの よさこい総踊り

そしたら 鼻に白い筋を入れた踊り子 オレにニコっと会釈

あら トークライブの学生さんでねえが


よさこい よさこい いい世よ 来い

赤や青の 華やかな衣装が乱舞して

オレもすっかり嬉しくなって

こっからだ こっからだ

心に届くものを 持っているかは

おめさんでねえ こっちの責任だからな

よさこい よさこい いい世よ 来い


(2019年11月18日)



# by johnny311 | 2022-02-18 12:46 | 日々の詩2019年

「なおちゃん・2」


飲んでくれ 飲み干してくれ

遠く 旅立つひとよ

花に 嵐の例えもあるぞ

さよならだけが 人生だ


飲んでくれ つがせてくれ

明日 旅立つひとよ

歌ってくれ つま弾いてくれ

生活の柄が 聞きたい


君を待っている 南の国では

昔からの 風が吹いている

手に持てるだけの 荷物と

歩く速さの 暮らしがある


なおちゃんが暮らす マドライでは

南からの 風が吹いている

同じ道を歩く ぼくらさ

すぐに また逢えるだろう


ヤポネシヤ フリーウエイの風

懐かしい 歌も流れている

島から島へと 渡って

ぼくの村まで ずーと飛んで来い


ヤポネシヤ フリーウエイの風

虹の戦士も かけてゆく

この国を覆っている 霧を

宇宙の果てまで ずーと吹き飛ばせ


(2019年11月14日)



# by johnny311 | 2022-02-07 14:18 | 日々の詩2019年

「百万本のバラ」

「百万本のバラ」_d0320318_12525801.jpg


楽屋の前は いっぱいのファン

最後まで待っていて ドキドキしながら

「読んでくなんしょ」 と 詩集を差し出したのさ

百万本のバラの歌の 貧乏な絵描きみたいにな


誰にも言わず 黙って避難した子ども


庭の土を持って この中の放射能はわたしのものではない

国と東電に返したい と 歩いて東京に行った

そんな詩が このひとに伝わるだろうか


「ありがとうございます ゆっくり

読ませていただきますね」


嬉しかったよ いい感じのひとだったからさ

だども お話は これでおしまい

ピアニストは 次の街へ

百万本のバラの歌の はなやかな女優みたいにな


ピアニストがステージで 愛の讃歌を弾いている頃

オレは いただいたお米を 被災者に配っていた

ピアニストが ファンに サインをしている頃

オレは いただいた菊芋のみそ汁を飲み それから

コタツで ギターをポロポロ弾いていたんだ


百万本のバラの花を

あなたに あなたに あなたにあげる

窓から見える広場を 真っ赤に埋め尽くす バラが

ほら 目をつむると 見えるでしょ


(2019年11月10日)



# by johnny311 | 2022-01-31 13:06 | 日々の詩2019年