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詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

●佐渡保養キャンプ報告・その1「想いをつぶやく、花にする」

 今回のキャンプは、「だるま森とえり子」、「アトリエとおの」というアーティストと、それに私の詩が加わり、遊びや歌や絵の世界で子どもの思いが引き出され、新たな展開が見えたキャンプでした。

 だるま森さんの代表作品、「森の歩き方」の上演の翌日にサプライズがありました。参加者のたく(中1)が、私の詩集「原発いらない、いのちが大事の歌」を読んで、「面白かった、買いますのでサインをしてください」と言ってきて、驚くやら嬉しいやらでした。
 夕方、だるま森さんから、「今夜も、ちょっとしたパフォーマンスをやりますので」と言われて、ご飯を食べてから御前に集合すると、ハープとタイコの演奏が始まり、とおのさんがライブで絵を描き始めました。すると、たくがゆっくりと登場。真ん中のイスに腰かけて冊子を開き、「おばあちゃん あれはなあに あれは原発のお墓」と、私の詩、「たたり神」を朗読し始めました。びっくりして、しばらくは身動きできませんでした。少年の素朴な語りと即興演奏、できあがっていく絵。ゆったりとした緊張の中に不思議な感動がありました。
 後でわかったのですが、詩を読んでいるたくを見て、だるま森さんがサプライズを思いついたようでした。たくはこれがきっかけで変化します。さまざまな面で主体的になり、ごはんの時にやっている「ハワイのいただきます」の言葉をみんなで大きな絵にしたいと提案してみんなで大きな絵にしました。また5期では、「へっついの家」を描きたいと言い出してキャンプの最後に絵を完成させました。その絵はいま、へっついの家の壁を飾ってあります。

キャンプの最中に、いただいた野菜の絵を描くワークショップがありました。絵に思うことを書くように言ったら、「死ね」とか「くそ」とか書いた子がいました。「これって何のこと?原発のことかな?」と聞きましたが、違ったみたいでした。どんなことであれ、「そんなことを言うのはだめ」とか否定しないで良かったと思います。だるま森さんが話されていましたが、まずは感情を出すこと、そしてそれを確認すること、そして、どうしてそう思ったかをただ聞くことが大切だということでした。その中から、本当はどうしたいかが見えてくればいいのでしょう。

 たくの提案で「へっついの家」は絵になりました。描く前に皆でへっついの家のイメージを出し合いました。大きくて古くてきれいなおうち、仲間がいること、みんなでやる手伝い、海や山や庭で遊ぶこと、おいしいごはん、焚き火やお風呂たきが大好きなことなどなどをポストイットで書いて出し、こんな家だったらいいなという想いを込めて絵に仕上げました。
 被ばく地、福島からの保養キャンプという現実と、でも、ここ「へっついの家」でどう生きていきたいのかを出すことで希望が見えたのかもしれません。2014年の佐渡キャンプはスーパーキャンプに近づいた夏でした。




by johnny311 | 2015-04-26 12:29 | 福島の子供たち