詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

「なじみの女」

なじみの女に 会いてえなあ と 男が言う

うす暗い 佐渡金山 鉱道のテーマパーク
離れようとすると また
なじみの女に 会いてえなあ と引き戻す
何十もの 声なきヒトガタの中で
その男だけが こうつぶやくのだ

わたしは 男に
おめさん 本当は何を言いてえのですかと 尋ねると
男は遠くを見やるように ただ
なじみの 女に 会いてえなあ と言うのだ
許されたのは この言葉だけ

わたしは目をつぶり 耳をふさぐ
火皿のもと坑道をうごめく いく百 いく千 いく万の
下帯ひとつの 水替え人足が見える
国に帰りてえなあ と無宿人の
主よ マリアさま とキリシタンの
アボジ オモニ と 朝鮮人の
無数の 声なき者の慟哭が聞こえる
わたしは手を会わせ 祈った
逃がされぬ 福島の子どもたちを思った

坑道の外はキラキラの紅葉
山の上は 青いあおい空

通訳のキセさん みやげ物屋で買った金箔入りのお茶
追悼の踊り サンチョク舞踏団の
交流会でいただくため
たしかに 佐渡らしいね

(2015年10月20日)


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by johnny311 | 2016-06-21 20:57 | 日々の詩2015年