詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

「紙ヒコーキ」

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青梅の町の広場から 少年がとばす紙ヒコーキ
いつまでも降りてこないので
ぼくも 空を飛びたいな と思っていたら
いつのまにか羽がはえて 大空へ

紙ヒコーキは ぼくをつれ 北へ北へ
大きなビル 田んぼ 雪のつもった山をこえたら
黒い袋があちこちにある町が見えて
海辺の壊れた工場からは 毒のにおいがして
白い服にマスクで顔をおおった たくさんの人が働いていて
近くには トラックで運ばれてきた黒い袋の山が
ピラミッドのように お墓のようにつみ重ねられ
ずっとずっと 遠くまで続いていたのです
海辺ではゆらゆら たくさんのかげろうが ゆらめいて
どこか さまよっているようで 遠くから風にまじってお祈りの声もして
ぼくはなんだかさみしくなって 「おかあさん」って呼んだら
いつの間にか 広場に立っていました

広場では手回しオルガンが流れ 風船でお人形が作られ
ひょうきんなピエロや マジシャンやジャグラーが芸を見せ
おいしそうなケーキやカレーが売られていて みんな
お茶を飲みながら 楽しそうにおしゃべりしているのですが
どこか 涙を浮かべているみたいでした
芝居小屋の中では 東北なまりの男が
遠くはなれて暮らす子どもの詩を朗読して
パントマイムに 風変りな楽器のかなでる音楽が
どこか切なくて でも なつかしくて
そうしたら へんてこな髪をしたひとが ぼくに
「ここは そらと大地のはざま
あの世とこの世をつなぐ広場なのだよ」とささやいて
見ると 海辺で見えた ゆらゆらのかげろうが
広場のあちこちにも たたずんでいて
ぼくは 近づいて そうっと
「一緒に見にいこう」と 声をかけたのです

(2017年3月15日)


by johnny311 | 2018-05-26 16:35 | 日々の詩2017年