「朝の電車は」
ゴットン ゴトゴト
ゴットン ゴトゴト
朝の電車は いそがしい
斜め向こうのお姉さん 鏡取り出しマユ描いて
シャドーを入れて パタパタと
向かいのおじさん ケータイに
スミマセン きょう病院 言うの忘れちゃって
ええ 休ませてもらって いいですか
ええ ええ ありがとうございます
それから なにやら探しもの
ああ ふくろ 忘れちゃった と上を向く
「間もなく 五百川 五百川」のアナウンス
おじさん 電車を飛び降りて 反対ホームにかけてゆく
だいじょうぶだべが
だども
朝の電車は ゴットン ゴトゴト
窓の向こうの 黒い山
汚染土 二本松で道路さ使うんだど
フーン
もう何も思わない もう誰も気にしない
「次は 郡山 郡山」のアナウンス
きれいになったお姉さん すました顔で降りていき
私は乗り換え 新幹線
東京で けさの電車の話するんだ
きっと おめさんがた忘れてる
8年目の 福島の話をしに行くんだ
(2018年4月8日)
by johnny311
| 2019-06-12 11:22
| 日々の詩2018年