詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

カテゴリ:日々の詩2017年( 39 )

「タイサンボクの樹の下で2」

帰る日の 朝のおいのり
きょう お船とバスに乗って
福島のおうちに帰っていく
ぶじに着けますように
明日からも 元気で暮らせますように

ジャンジャンジャーンと ドラがなり
また 来てねえ と 手をふって
また 来るからねえ と声がして
遠くなる 船のかげ みんなの顔はもう見えぬ
さみしいのお だども

だいじょうぶ 同じ道の上 すぐにまた会える
なぜなら
わたしたちは きょうだいであり ともだちであり
お父さん お母さんであり こいびとでもあるからだ

両津の海の 青い波
ドンデン山の白い雲
へっついの家 タイサンボクの樹の下
ゆらゆら 風に揺れるハンモック
わたしは 目をつむって手を合わせた

いつでも 帰っておいで
わたしはいつも ここにいる
わたしたちは ずっと ここにいる

(2017年8月6日)

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by johnny311 | 2018-08-05 14:30 | 日々の詩2017年

「雨に立つひと」


右手に ビニール傘
左手で プラカード
「子どもを 放射能から守ろう」
「原発ゼロの未来へ」「国と東電は責任を果たせ」
「アベ政治を許さない」
雨の須賀川 ヨークベニマルの前
道ばたに立つ人は 代わるがわるハンドマイクをにぎる

こんなところでやらんでくれ と
最初 店から文句がきてね
でも いまは来ません
みんな被ばくしているからかなあと笑う 雨に立つ人

毎月のスタンディング それぞれの思いを話すけんど
でも だれも振り向かない だれも立ち止まらない
雨だからかなあ
今日はギター持ってきたけんどなあ
あきらめてマイクにぎって

ご通行中のみなさん 二本松からきたセキと申します
私の家族は米沢に避難してます
でも支援打ち切られ いまは不法占有者
出ていけと 今度 裁判にかけられます
ご通行中の皆さんの中に 創価学会の人はいますか
我が家は学会でした でも いまの学会 公明党は何ですか
ファシストの手先ではありませんか
初代会長は 治安維持法で 獄中で殺されたんですよ と話したら
チラッとふり向くひと

立ち止まらんでも こっちさ来なくても
聞こえている 伝わっているべ
おんなじ 被ばく者なんだもの
被ばく者が 雨に立っているんだもの

(2017年7月25日)

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by johnny311 | 2018-07-29 19:03 | 日々の詩2017年

「福島のズッキーニ」

ピカピカの ズッキーニ
草刈りのお礼にと クノさんがくれた
EMもまいた 検査もしたが不検出
良かったら食べてと うれしそう

丸々ふとった 黄色いズッキーニ
フライパンにオリーブオイル
ニンニクと塩コショウで味付けし
軽く こげ目がついたら
はい できあがり

晩酌のおかずは ズッキーニ
ラジオから 再稼働中止の裁判 負けたのニュース
原発は 日本のエネルギーの基本なんだって
「放射能 知れば知るほど こわくない」
これ 南相馬の市役所が言ってんだよ
地元がこうだもの アベ政治はニコニコして原発を進めるさ

福島産のズッキーニ食べたのは
放射能 出なかったからでねえ
放射能 こわくなくなったからでねえ
クノさんが いっしょうけんめいに こさえて
おいしくて 愛があって ちょっと
切ない感じのズッキーニだから いただいたのさ
はい ごちそうさま

(2017年7月22日)


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by johnny311 | 2018-07-19 18:01 | 日々の詩2017年

「阿賀野川」

山のあなたに降る雨は
只見に阿賀に そそがれて
流れ 流れて日本海

福島に向かう高速バスの窓から
水をかぶった田んぼが見える
夕べの雨 ひどかったからねえ とお客さん

昔 この川にドクが流されて
イタイ イタイとひとが苦しんで
このあいだ 原発事故で放射能が降って
磐梯山 川桁山 布引山にも降ってな 
木の葉っぱについて キノコが吸って ケモノガ喰って
雨のたんびに 山がけずれて 阿賀野川さ入って
おめさん すごい量のドクが
日本海まで流れてんだよ と 言いかけたら
おとなりさんは ウツラウツラ

おれは黙って 雨の上がった空見上げ
お祈りした
山のケモノ 川の魚 みんなのことをな

(2017年7月18日)


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by johnny311 | 2018-07-15 20:20 | 日々の詩2017年

「ダイアローグ」

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タンタスコ スコタン タンタスコ スコタン
ヘイ ジャック!
伊達市の若連に呼ばれたフランス人は ステージヘ
バチを手に 器用に和太鼓をたたく
タンタスコ スコタン タンタスコ スコタン
湧き上がる歓声と笑顔
何とも言えない へんな気持ち
おいおい 歓待の相手 間違えてねえが

ふいに思い出す ヒロシマのいしぶみ
「安らかに眠ってください
あやまちは
繰り返しませぬから」

この目の前にいる人たちは アイ シー アール ピー
国際放射線防護委員会の人間
復興のためのダイアローグにやってきた と言っているが
オラたちを苦しみに突き落とした 原発推進の 
原子力ムラの者どもではねえのが
そったらごど言う オラはひねくれ者か

避難指示が解除され 生活の自由が戻ってきたというけれど
自主避難者の住宅支援は打ち切りで
自死した人の話もでてこない
未来を語りましょう
被害者でい続けることから何も生まれない
長崎、広島と比べて大騒動する話ではないですよ の住民の声
南相馬からきた男は
水と空気と土と 測らなければわからないと言ったのだが
復興に向かってがんばっている人たちの中では
たった ひとりだったのです
そういう作りの ダイアローグだったのでしょう
本当の対話は いつ始まるのでしょう
あなたと わたしと みんなとの

(2017年7月9日)


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by johnny311 | 2018-07-13 19:55 | 日々の詩2017年

「ゆんべの 祈り」

夜中に おなか病みました
胆石があるのです
冷や汗ながして おなかをさすり
ああ 切ね
ゆんべは それに雨風吹いて
ボトボト 屋根さ 梅の実落ちて
ああ 眠れね

ノロノロ起きて 台所で水のんで
キューレイコンねって おなかに貼って
また横になって おなかにアイロンあてて
神さま どうか痛いの おさめてくなんしょ
こんなあんばいだど 保養 やれなくなりますから
まだ やることありますから と お願いしたのです

そのうち うつらうつらして
目 さめたら お日さまも顔を出していて
ああ 楽になった ありがたい だども
ラジオからは 九州の大雨のニュース
なんぼ切なくたって わがのごどだけでは わがねえ
大変なひとのことも考えねばなあ と 手合わせたのです
それから福島のことも あの人のことも お願いしたのです

(2017年7月5日)


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by johnny311 | 2018-07-08 12:04 | 日々の詩2017年

「聞こえくる アヴェマリア」

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聞こえくる アヴェマリア
この前から おれの中で

から梅雨の 朝の草取り
梅もぎは おとなりさん ああ いいにおい
梅の酵素ジュースもいいな
セキさん 少し持ってがっせ
ありがとうございます だども 女房も米沢だし
そう言ったけんど やっぱ放射能がな
 
三日前
避難先の団地に届く 退去の通知
おれたちは 不法占有者
居たいなら 七夕までに手続きしろ だど
なあに 裁判所さ 行ぐべ
引っぱられで 思うごどしゃべるべ
だれのせいで こうなったってな
おめさんも 同じ被ばく者だべってな

なり響く アヴェマリア
この前から おれの中で ずっと ずっと
見守ってくなんしょ 
役目 はたさせてくなんしょ あなたさま
かかえている 腹の中の石
やるべきことやるまで 生きさせてくなんしょ
あなた さま

(2017年6月30日)


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by johnny311 | 2018-06-25 19:17 | 日々の詩2017年

「ホイドの詩」

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トザイ トーザイ
ここに現れましたるは 原発難民にござりまする
3・11あの日から
死の灰 降らぬところ 溜まらぬところ 転々と
北に南に 東へ西へ 行った先々 口上を
何で 逃げねばなんねえがったのが
何で 保養を始めたか
不法占有 裁判にかけるとおどかされ
それでも 避難者でいることを
うたよみ 音曲 紙芝居 あれやこれやで
皆さまにお伝えするのです

除染の仕事でもやったら
セキよ おめえは放射能の不安をあおって
金をせびるサギ師だ と バトウする方もおりますが
国と東電のせいでしょ と 心づくしを下さるひともいて
なんとか生きながらえておる 言わば わたし
門付けの ホイドみたいなもんでござります
それでも詩を聞いて なみだ流すひともおられるから
ときどき マレビトになっているのかなあ

千年に一度の大震災に遭ったのだもの
フクシマ原発事故で 被ばく者となったんだもの
これを運命と受け入れて
おめさんがたの 街で むらで
子どもと離れて暮らすホイドの詩を
詠むべと覚悟したのでござります

どうか 呼んでくなんしょ
足代と 投げ銭で構いませぬから

(2017年6月25日)


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by johnny311 | 2018-06-24 09:44 | 日々の詩2017年

「神さまのこころ」

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お金 あるの
ひと いるの
家賃 払えるの
もう 夏だけにしたら

あと先考えて はじめたことでねえ
とにかく福島の子ども 逃がさねばと思ってな
ベラルーシ 30年たっても保養やってんだもの
動けるうちは やるさ
神さまのこころに沿っていれば
なんとかなるんでねえべが 今までも そうだったもの
なんともならなくなったら 役回りはおしまいと
静かに 目 つぶるさ

佐渡 へっついの家
ここに来たら ただいまって言うんだ
まきを割って お風呂をわかす
ツリーハウスで ドンデン山からの風にあたり
畑のトマトをもいで みんなと一緒にごはんを食べるんだ
夜は たき火を囲んで 星を見る
おおきな 夏の大三角点をな

佐渡 へっついの家
ここで こさえているのは
みんなの ふるさとだ

(2017年6月24日)


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by johnny311 | 2018-06-18 09:51 | 日々の詩2017年

「共謀罪の夜」



6月15日 共謀罪の夜
樺美智子が 国会で殺された日
ああ テロリストになっちまいたい気分 と
うめく 国内難民に リストの愛の讃歌
はらはらと 涙こぼれて
夜明けは きっと かわいた茶色

6月15日 共謀罪の夜
アベシンゾウが 恐怖政治を始める日
きょうから 覚悟して 死ぬるしたく
きょうから 腹くくって 生きるしたく

(2017年6月15日)


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by johnny311 | 2018-06-16 20:39 | 日々の詩2017年