詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

カテゴリ:日々の詩2017年( 65 )

「12月の駅前で」2

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夕暮れの駅前で ハーモニカを吹きました
きよしこの夜 ビートルズ
足元のプラカード
「さよなら原発 さよなら戦争」
となりは交番 おまわりさん
寒くてきっと 出てこない

12月の駅前は なぜかキラキラの
イルミネーションまぶしくて
目の前は宝くじ屋さん 夢を買うひといっぱいで
誰も見て 見ないふり
それでも 道ばたで歌うのは
今日が 金曜日だからなのです

あの日 日本中のすべての原発が止まって
それでも フツウに暮らせていたのに
それでも 原発や戦争でご飯を食べたいからと
また再稼働し また戦争のできる国にして
足りないお金は 生活保護を削るんだって
ふーん

駅前の 雪の積もったベンチのわきで
凍えながら イマジンを歌った
空をあおいで 見えないひとに向かってな
そしたら誰かが ニッコリしてくれたから
ホッとして それで今夜はおしまい
おしっこも したかったしな

(2017年12月18日)


by johnny311 | 2018-12-21 09:11 | 日々の詩2017年

「なあ おめさん」

記者さんが言うのです

あれから6年9カ月
線量 下がった 野菜からもそう出ない
みんな フツーに暮らしている
福島に帰りたくないのなら 移住すればいい話
なのに 家賃払わず居座って
セキさん
なんで 「避難生活」続けるのか

そう仰る おめさんよ
初期ひばく いっぱい浴びせられたから
線量の低いところに 居たいのです
二本松の家のホコリ いまも4、767ベクレル
植え込みの陰 川っぺり 市役所の辺り
あっちこっちさ ホットスポットあって
ここで子育て したくないのです
フクイチの2号機 格納容器にぶら下がるデブリ
いつ落ちるか 何かあったら また逃げねばなんねえから
なるべく遠くに 居たいのです

なあ おめさん
そもそもは 国と東電の責任
好きで避難したのではねえぞい
子どもが大きくなるまで 被害者がもういいと思うまで
せめて 住まう所を提供するのが
加害者の責任ではないですか

「避難は権利」 そう思うから
被告と呼ばれて 山形地裁の前に立ち
11月の雨に震えながら 声を上げることにしたのです
わたし 間違っていますか
なあ おめさん

(2017年12月4日)


by johnny311 | 2018-12-14 07:47 | 日々の詩2017年

「追い出し」

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11月の 山形の裁判所
追い出し食らう避難者が
氷雨に震えて立っている

なんで 福島に帰らない
どうして 避難 続けるか なんで 家賃を払わない
おめさんは そう おっしゃる だども
いまも 避難 続けねばなんねえのです

初期ひばく いっぱい浴びせられ
被ばく基準20ミリ 住宅支援終了と言われるが
二本松の家 0,15マイクロシーベルト
植え込みの陰 吹きだまり ホットスポットあちこちに
やっぱり ここで 子育てはしたくないのです
フクイチの2号機 格納容器にぶら下がる デブリ
なんかあったら また 逃げねばなんねえのです

いや もう避難する状況ではない
帰還がイヤなら移住を とおっしゃるおめさん
3月31日が過ぎれば
居座っている不法占有者ども 家賃払ってさっさと出ていけ
いつまでも 福島が危険みたい話を語り
復興の足を引っ張る 悪質避難者
お前たちは犯罪人だ と裁判にかけられる
なあ ひどい話だべ おかしな話だべ
好きで避難したんでねえんだよ 国と東電のせいだべしさ

あの日 地震で配管ポキポキ折れて
格納容器 空焚きで あっと言う間にメルトダウン
地獄のカマがドッカン開いて ドクをこの世にまき散らす
ニホンジンはみんな 被ばく者になったのさ
だども 原発は再稼働 アベ政府は選ばれて
だども おらたちは追い出しを食らい
冬空の下に立っている こぶしを握ってな みんなとな

(2017年12月3日)


by johnny311 | 2018-12-12 10:29 | 日々の詩2017年

「幸せのおすそわけ」

入院して お腹を切って
みなさんに心配してもらって
だから
ありがとうの おすそ分け

祈ってます
思ってますよ のメッセージ
うれしかったから
幸せの おすそ分け

大したことではないの
イライラしてた人に
ほほえんで お世話できたこと
カリカリしていた人に
フムフムと 耳を傾けられたこと
きょうは わたしが
ゆっくりしようと思えたこと

ありがとう
みなさんのおかげです
あったかい気持ち いっぱいもらったからね
避難している あのひとからも
お返しできたのは 私の中が愛で満ちたから
だから 誰かに
幸せのおすそわけ

(2017年12月1日)


by johnny311 | 2018-12-07 08:15 | 日々の詩2017年

「アルバイト」

きょうは 介護のアルバイト
あたまゴシゴシ 背中ゴシゴシ
チンチンも やさしくゴシゴシ
ザーと流したら
抱えて 湯ぶねにヨッコイショ
どうですか
ああ やっぱし 冬はお風呂が一番

障がい者の入浴 ジジイのおれがやる
大変でねえ お金もらえるし
何より 喜んでもらえて
おれもいづれ お世話になるんだしな
除染さは行かね
金は よっぽどいいのだべども
もういっぱい 被ばくしてるしな
作業員の方には申し訳ないんだども

仕事の帰り 店じまいのコープ
売れ残りのコロッケ買って
食べながら帰る

街はもう イルミネーション
何事もなかったみたいな顔して
福島に 師走がクリスマスが
新しい年がやってくるんだ
避難者を 切り捨てたままな

(2017年11月26日)


by johnny311 | 2018-12-03 09:49 | 日々の詩2017年

「わたしはヒコク」

わたしは ヒコク
住戸不法占有者
きょう 裁判にかけられる

帰還か 移住か
国の決めたことに 従わぬ
だから おまえは ヒコクミン

二本松の家のホコリ
4767ベクレルあるのです
2号機 地震がきたらデブリ落ちて
また 逃げねばなんねえ
せめて 子どもが大きくなるまで
もう いいべとなるまで と思うのですが
おめさんがたは
損害金 さっさと払って団地出ろと おっしゃる
むごさいのお

わたしは ヒコク
住戸不法占有者
きょう 口頭弁論でしゃべる

仕方なく 福島さ帰ったひと
仕方なく 家賃払って残ったひと
恨み悲しみ 怒りに苦しみ
いっぱい いっぱい あんだよ
いったい 誰のせいでこうなった
国と東電のせいだべしさ
好きで勝手に 避難したんでねえぞい って
裁判官に 国に
おめさん方に しゃべる
あと 見えない方々 神さまにもな
わたしたち 間違ってますかって しゃべる

(2017年11月18日)


by johnny311 | 2018-11-30 09:54 | 日々の詩2017年

「助けてくなんしょ」

胆石取った 腹の傷
咳のたんび キリリとナイフ 突き刺さる
切ねかったから 助けてくなんしょ と
誰彼なく フェイスブックの皆さんに うめいたのさ

まずあたためること それから
ハチミツに生姜 レンコンのすりおろし
マスクもカイロもいいですよ
それからノロノロ 腹を押さえて隣の部屋
6年前から山積みの サージカルマスク取り出して
冷蔵庫の生姜かぢって 白湯 飲む

あの日もそうだった
原発は爆発 続く余震
だどもガソリンなく 逃げられねえ
人気のない町 支配する不安
心臓はいつもドキドキしててな
誰彼なく 助けてくなんしょと 電話したのさ

そしたら
玄米に味噌だ 金送るぞ 自転車で逃げろ
いつでもこっちさこい のメール
17日の朝には 山梨のヒロちゃんたち
ガソリンタンク満載のワゴン車でやってきてな
ああ おれたちは 見捨てられてねえと思ったら 涙出た
国は民を守らない
国はおれたちを逃がさない
つながりこそがセーフティネット

夜中に 甘酒に生姜いれ コトコト煮て
飲んでマスクして 湯たんぽして寝たよ
皆さんに手 合わせてな

(2017年11月11日)


by johnny311 | 2018-11-22 18:31 | 日々の詩2017年

「カタ コト ゲホッと 音がする」(胆石の手術を終えて)

4人部屋の 病院の朝
白いカーテンの向こうから
カタ コト ゲホッと 音がする
夕べも 切ねそうだった
窓から差し込む 11月の光は穏やかで
だども この部屋には 隠れているものがおってな

具合どうですか とドクター
腹帯したら 痛みもだいぶ治まって
では 退院ということで 

塩気のない朝めし お茶で流し込むと
検温です とやってくる せわしげなナース
体 拭くタオルお使いになりますかと 2本差し出すが
それより あんたサービスで
オレと 添い寝してくれねえが
そのほうが なんぼ元気になるかもしんねえ
はは これはザレゴト ジジイのモウソウ
どのナースも 色っぽく見えるから
オレも少し 持ち直してきたか

着替え始める カーテンの向こう
パタ スタ パタ スタ と
おとなりさん トイレから帰ってきて また
カタ コト ゲホッとだけ 音がする

家さ帰れば 0.15マイクロシーベルト
だども ネコの世話も 息子の弁当づくりもある
胆石とったオレは
みなさん はやく元気になりますように
早く治りますように と
カーテンの 向こうの皆さんにだまって頭下げ
二本松さ帰った

(2017年11月9日)


by johnny311 | 2018-11-15 18:24 | 日々の詩2017年

「十六夜」


背中のリュックには
売れ残りの詩集
売れなかったが 被ばく者の
フクシマのいまが 話せて良かった

夕方の東京は雨
だども 終電が二本松に着くころには
上がっていて助かった
家に向かう坂道を トボトボ歩く
やっぱしきついな ちょっと重いな
明日から病院を思うと ちょっと切ないな

一息ついて 空 見上げたら
十六夜のお月さま
雲の上におわしまして
ああ いつも見守って下さっていて
ありがとうございます

家の玄関にリュックを下ろし
お月さまに 手を合わせた

世界中の人たちが 子どもたちが
戦争や差別や放射能 あらゆることで苦しまぬように
今日 会った皆さまが 幸せになりますよう
大好きなあのひとに 会えますよう

そうお祈りしながら
青い光を浴びていたんだ

(2017年11月4日)


by johnny311 | 2018-11-04 16:48 | 日々の詩2017年

「いってらっしゃい」

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はい弁当
電車 間に合うか
ギリ だいじょうぶ
行ってきます
おい シャツ出はってるぞい
ワイシャツ押し込みながら
坂道をかけてゆく息子に
親父が小さく
行ってらっしゃい

坂の上 風はドォードォー
木の葉バラバラ 屋根さ降って
また線量 上がるべな

昔 おれは引き売りで
野菜にお米 味噌醤油 酵母パンも積み込んで
無農薬 有機野菜いかがですか 
軽トラックで あの町この街 売りに行く
おいしいトマトは
思想の右と左 つなげるチカラあるのさ

さて 売りに行くか
おとうさん いってらっしゃい
バックミラーの中 小さいお前が手を振って
あの角の向こうまで ずっとずっと
見えなくなるまで 手を振って

あの頃の 八百屋の売りは無農薬
いまは何だべ ノンベグレルか

(2017年10月31日)


by johnny311 | 2018-10-30 11:04 | 日々の詩2017年