詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

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「ギョーザ」


4月から 新米保育士の娘
仕事がんばっているから
「お父さんのギョーザが食べたい」と言うものだから
せっせと大根ギョーザ こさえた

女房とこどもは米沢で おれと上の息子は二本松
移住でも帰還でもなく 自主避難のまま
住宅の無償提供続けてください と言うものだから
国のえらいさんには やっかい者なのだろうが
好きで出たんではねえぞい
いまだって ゲンパツ あぶねえんだぞい

仕事帰りの女房 ギョーザ食べながら
4月に入ったけど 県からまだ何も言ってこない
これからかなあ このままだと不法入居
大変なことになるって 回りの人が言うんだよ
まあ 訴えられたら 裁判だな 
避難は権利だってこと 司法に判断してもらうべな と オレ

「あーおいしかった じゃ帰るね」 と女房は
お土産のギョーザを手に
栗子の峠を越えて 帰って行った
オレは お月様を眺めながら
ののこ 今夜は大根ギョーザだぞい
れん 今度の試合は見に行くぞい と 話しかけたんだ

(2017年4月12日)

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by johnny311 | 2018-05-31 07:59 | 日々の詩2017年

「不思議」

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わたしは不思議で たまらない
イェルサレムの アイヒマン
家ではやさしい 父親が
ユダヤをせっせと ガス室に

わたしは不思議で たまらない
加害の国の お大臣
被害の立場の 避難者に
自主避難は自己責任 文句あるなら
裁判でも起こせばいい

わたしは不思議で たまらない
こどもを保養に出した 親
もう線量は変わらない もはや保養 必要ない
それをわざわざ 言いに行く

わたしは不思議で たまらない
わたしを愛した あのひとも
あなたを愛した このわたし
きょうは 誰かを好きになる

わたしは不思議で たまらない
夜はかならず 来ることが
朝には おひさま のぼること
冬はかならず 来ることが
春には 花が 咲くことが

(2017年4月9日)


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by johnny311 | 2018-05-30 07:54 | 日々の詩2017年

「へっついの家に行ったら」

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へっついの家に行ったら
ツリーハウスに のぼるんだ
ゆらゆらのハンモックから 遠くの山を見るんだ

へっついの家に行ったら
たき火を たくんだ
しめらせた新聞紙とアルミにくるんだサツマイモで
焼いもをやるんだ
夕方からはまきわり お風呂をわかして
コウタくんといっしょに入るんだ

もう キャンプに来ない子もいる
一回も 行ったことない子もいるよ
もう 保養は必要ないっていう大人もいる
こんどは 福島にきてくださいだって
ぼくは 外で思いっきり遊べるから へっついの家が好き
お母さんも出してくれるし みんなもいるし

へっついの家に行ったら
竹で弓をつくるんだ カヤで矢をこさえて
青い空に 飛ばすんだ
ずっとずっと 向こうの
白い雲まで とばすんだ

(2017年4月6日)


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by johnny311 | 2018-05-29 10:00 | 日々の詩2017年

「へっつい子ども食堂」

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きょうは なんにもない日だから
子ども食堂 やろうか
チャーハン ギョウザに中華スープ
だいじょうぶ つくれるさ
寄らんか舎で お買い物
けいこさんから作り方 教わって
ミノリとケンタローは キャベツザクザク ニラもザクザク
小さい子も ギョウザをつつんで
リュウジロウは ごはんを炊いて
セイヤは チャーハンを大鍋で三回こさえて
ああ 20人分って大変
おそくなったから スープはやめよう

「太陽と大地と 海の恵みと
私たちを守ってくれる すべての存在に感謝して
いただきます」 とみんなで言って
けいこさん どうですか 味は?
うん おいしいです
ありがとうございます 
ジョニーさん 星いくつですか?
ちょっと しょっぱいけど悪くない 星ふたつだな
ありがとうございます
星ふたつ いただきました

春の佐渡保養 6日目
あちこちから届いたベクレてない野菜やお米
福島の子どもたちが料理して おなかいっぱいになった
きょうは こども食堂の日
幸せや楽しみは どこにでも見つけられるのです

(2017年4月4日)


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by johnny311 | 2018-05-28 11:23 | 日々の詩2017年

「お世話になりました」

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お母さんとレンは 米沢
おまえも なるべく遠くさ行け と
札幌の学校に送り出した娘も卒業
お世話になりました
早いもんだね で 就職は
はい 米沢の保育所に こっちも考えたんですけど
そりゃ良かった どこだって決まれば 
やさしい支援者と ご飯食べて
娘と母は 荷物いっぱいの車でフェリー乗り場へ

わたしは お世話になった挨拶がてら
あと10日で住宅支援が打ち切られる 自主避難者の話をしに
あちこちに行ったのですが
3月の北海道はまだ雪がいっぱいで
6年たった福島のこと みなさんどう思ってるだべが と
ちょっと ドキドキしたのです
会場でユウスケさんが たたり神を歌ってくれて
カツタロウさんが キノコを手に会いに来てくれて
みなさん 「アオキさん」の詩に耳を傾けてくださって
話が終わって外にでたら 星がいっぱいで
朝には 芦別岳が見えて

北の大地のみなさま 神さま
娘 お世話になりました
ワタナベさんやヨコタさんの子どもさんも
北海道に残って進学するそうです
避難は続きます 住宅支援 打ち切られても
これからもお願いいたしますと
手を合わせ 頭を下げ
それから 苫小牧さ向かった

(2017年3月23日)


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by johnny311 | 2018-05-27 15:37 | 日々の詩2017年

「紙ヒコーキ」

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青梅の町の広場から 少年がとばす紙ヒコーキ
いつまでも降りてこないので
ぼくも 空を飛びたいな と思っていたら
いつのまにか羽がはえて 大空へ

紙ヒコーキは ぼくをつれ 北へ北へ
大きなビル 田んぼ 雪のつもった山をこえたら
黒い袋があちこちにある町が見えて
海辺の壊れた工場からは 毒のにおいがして
白い服にマスクで顔をおおった たくさんの人が働いていて
近くには トラックで運ばれてきた黒い袋の山が
ピラミッドのように お墓のようにつみ重ねられ
ずっとずっと 遠くまで続いていたのです
海辺ではゆらゆら たくさんのかげろうが ゆらめいて
どこか さまよっているようで 遠くから風にまじってお祈りの声もして
ぼくはなんだかさみしくなって 「おかあさん」って呼んだら
いつの間にか 広場に立っていました

広場では手回しオルガンが流れ 風船でお人形が作られ
ひょうきんなピエロや マジシャンやジャグラーが芸を見せ
おいしそうなケーキやカレーが売られていて みんな
お茶を飲みながら 楽しそうにおしゃべりしているのですが
どこか 涙を浮かべているみたいでした
芝居小屋の中では 東北なまりの男が
遠くはなれて暮らす子どもの詩を朗読して
パントマイムに 風変りな楽器のかなでる音楽が
どこか切なくて でも なつかしくて
そうしたら へんてこな髪をしたひとが ぼくに
「ここは そらと大地のはざま
あの世とこの世をつなぐ広場なのだよ」とささやいて
見ると 海辺で見えた ゆらゆらのかげろうが
広場のあちこちにも たたずんでいて
ぼくは 近づいて そうっと
「一緒に見にいこう」と 声をかけたのです

(2017年3月15日)


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by johnny311 | 2018-05-26 16:35 | 日々の詩2017年