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詩と写真でつづる311 関久雄「原発いらない、いのちが大事の歌」

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「せいいっぱい」

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六十七になった

いつもの 朝のお祈り
みなさまが 幸せになりますように
戦争や原発を無くするための
働きができますように

それから ラジオをつけて
玄米と キムチとみそ汁の朝ごはん
平昌オリンピックの開会式で
イマジンが歌われたんだって
やっぱし 平和でなくちゃね
遠くにいるあなたに そうっと話しかける

夕べは郡山の駅前で
原発いらない いのちが大事と歌った
きょうはお天気だから 洗濯をしよう
明日はあのひとに会うから
きょうはしっかり仕事をしよう
佐渡キャンプの準備もな
 
六十七回目の 始まりと終わり
心して備えよう
できる最善をつくそう
あのひとのもとに
いつ 帰ってもいいように
せいいっぱい
せいいっぱい

(2018年2月10日)


by johnny311 | 2019-04-26 10:00 | 日々の詩2018年

「神だのみ」

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セキさん
どうやって生活しているの とフリツさん

はい 基本は神だのみ
保養が続けられますよう ついでにごはん食べられるよう
よそで福島の話をして拙い詩を詠み おひねりをいただく
まあ ホイドみたいなもんですが
ギリギリでお米が届いたり ガイコクから寄付がきたりするから
願いはきっと 聞き入れられているのです

4年目の浅い春 神さまに願かけた
へっついの家を助けてください
ひと月でカンパ100万集め借金を返す 叶わぬなら
お前にはその力がないのだと 脱原発からも保養からも身を引いて
除染作業員になって借金を返す
そう覚悟したのです
七日たち 十四日が過ぎるころ
セキさん お金集まっているよとハシモトさん
二十日には100万になり ひと月で倍を超え
ああ 神さまって本当にいるんだ おれにまだやれと仰っている
もう泣き言は言わない 腹くくってやる 
役回り 終わるまではな

それからは神だのみ だども
国よいい加減にしろ いつまで民の善意にぶら下がる
あちこちにばらまく金があったら 保養に回せ

そう言ったものの 簡単ではねえですから
フリツさんも ご支援お願いします
いやいや わたしも厳しくてと仰るが
なあに やさしいお医者さまだもの
この春にはきっと何かあるはず と
せっせ せっせと神だのみ

(2018年2月5日)


by johnny311 | 2019-04-25 19:03 | 日々の詩2018年

「しあわせになるための『福島差別』論を読んで」

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たしかに 原発事故はあったけど
もう放射能は問題ない と書いてある
WBCもガラスバッジでも たいして出てない
チェルノブイリよりも ヒロシマよりも少ないって
甲状腺ガンの多発は スクリーニング効果
学校の検査もじき やめるみたいだよ
ふーん
それでも不安は消えない 福島のものは食べないとか
それはもう 科学の問題ではなく社会学の領域と 学者さん
原因は 非科学的な理解で差別と分断を持ち込み
復興の足を引っ張る 脱原発の人たちのせい らしい
セキさん あんただって
保養のカンパ集めで 福島は危険と不安を煽り
金を集める詐欺師 と言われているんだよ

何が 本当かはわからない
でも 空母ロナルドレーガンで10人死んで
子どもの甲状腺ガン200人超え ノリオさんも切って
チャーリーは心臓の動脈瘤破裂で亡くなって
死ぬ人病む人 まわりで増えて
おれは下痢 レンもよく鼻血だして
5年前 庭の土7万ベクレル
去年 家のホコリ4676ベクレル
確かなことは 起きていることだから と
うちは 米沢へ避難したのです

事故の責任は国と東電だから
それぞれの判断と選択を認めろ と言いながら
裁判で 被告の席に座らされているのです
これも しあわせになるため なのです

(2018年1月30日)


by johnny311 | 2019-04-21 23:35 | 日々の詩2018年

「うんざり」

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うんざりだ
たしかに 最初ホウシャノーは降ったし避難もした
でも 7年たってフツウに暮らしてんだぜ
ここにいるのが危険みたいな話
もう うんざりだ と 成人式の若い人

エネルギーのこと考えると
原発も必要かなと迷ってしまう
保養より復興かな 保養センター作るなら福島県へ
そう話す ベラルーシに行った高校生

ゆれて ゆれて怖かった
千葉にしばらく避難していたし 友だちも黙って転校した
ゲンパツ あんなものはいらない うんざり
それでも動かすなんて 何を考えているのかと思う
悲しいこともあった
でも こうやって みんなと会えて良かった
そう話す 保養にきた子ども

なあ 若いひとたち わがの頭で考えるべ
起きていること ちゃんと見るべ
見せられているものは ニセモノで
ホンモノは 隠されているって言うからな

3・11から じき7年
事故は 終わったかのように
放射能は 問題ないかのように 責任はないかのように
民を 切り棄てていくこの国に
おれは もう うんざりだ

(2018年1月17日)


by johnny311 | 2019-04-20 21:09 | 日々の詩2017年

「坂の上から 手を振って」



ふと 振り返ったら
そのひとは 道に立っていて
ちいさく 手を振っていた
少し歩いて また振り返ったら
坂の上から まだ手を振っていた

だんだん 遠くなっていく
次の角で もう おしまい

少し 切ない気持ちになって 足を止め
来た道を振り返る
小さくなったあの人は やはり坂の上にいて
大きく 大きく手を振って
わたしも 大きく手を振って
それから
いっきに 角を曲がったんだ

電車の窓から見える 白い山と青い空
美しいのお

あの人が 幸せになるように
難民にさせられた人たちが 幸せになれるようにと
山の向こうの 見えない人たちに祈ったから
願いはきっと届けられたのだ
あのひとに
想いはきっと届いたのだ

(2018年1月16日)


by johnny311 | 2019-04-18 17:58 | 日々の詩2017年

「フクシマの 言葉売り」

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東京のはずれ
冬の公園の シャボン玉
陽だまりで ゆらゆら生まれ
ふわっと飛んで すっと死んで
ふきだまりの 落ち葉
集めては 空に飛ばす子どもたち
赤や黄や茶の葉っぱ キラキラ光って地べたさ落ちて
ゆっくり土に 還ってゆく

フクシマから来た男は足をとめ
なつかしいような 切ないような気持ちで
しばらく 眺めていたのです
ここも なんぼかホウシャノー降ったんだべ
だども 土いじったって
ドングリ拾ったって 怒られね

男は言葉を売りながら 旅をしていました
きのうは門付けで難民の歌を歌い おひねりをいただき
夜は 泊めていただきました
けさは あさげと小さな菓子もいただき
「それでは」と お暇したのですが
家の人は見えなくなるまで 見送ってくれたのです

男は次の街までの 電車を待つ間
駅前のカフェで 紅茶だけ頼み
リュックサックから そうっと菓子を出し
静かに いただいたのです
見送ってくれたひとを 思いながら

(2018年1月15日)


by johnny311 | 2019-04-17 10:42 | 日々の詩2018年

「子どもを逃がせ」

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黒地に 白く
逃げちゃダメ
逃げちゃ駄目だ と 書いてある

なに これ
洗濯物 干す手を止めて息子にたずねる
ああ これはエヴァゲリオン ファンだから
そっか おれはてっきり
福島から逃げちゃダメ かと思ってな
ハハ 考えすぎだよ アニメのセリフ

洗濯物 きょうは外に干しました
冬晴れの空 ゆらゆらのシャツ
逃げちゃダメだ のメッセージ
息子よ 教えてくれないか
なにから 逃げたらダメなのか
なんで 逃げたらダメなのか

国も県も 逃げちゃダメとは言わない
放射能が心配なら 移住でもなんでもどうぞ
自己責任ですから それより早く自立しろ

おれはいつも逃げる算段 だども
行ったり来たりしている訳は 
お前がここにいるからで みんながここにいるからだ
しんがりを務め 死ぬるのは 古参の役目というからな

おれがもらったTシャツには
灰の行進 いのちが大事
子どもを逃がせ と書いてある

(2018年1月11日)



by johnny311 | 2019-04-12 07:36 | 日々の詩2018年

「難民のお正月」

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難民Aは 佐渡ヶ島
難民Bは 東京で 難民Cは福島で
おもいおもいの お正月

島は西風ドウドウ吹いて 古家のすきにせっせと目張り
それでも暮れには餅ついて 歳暮のかまぼこやってきたし
ありがたい ありがたい
へっついの家は あったかだ

冬休みに郡山から戻った
娘の弾く バイエルを聞きながら
お母さんはせっせと おせちをこさえる
4回目の引っ越し 念願のピアノの弾ける家
多摩は冬晴れ 部屋はあったか

「よう 来たの」と じいちゃん
抱きつく子どもたち
年末年始は 福島の実家 でも
見えないけど確かにある放射能 あちこちにね
あるものを 無いことにできないよ だから
なつかしくて やっぱ切ない里帰り

7年目が始まった
帰還者でも移住者でもなく 難民となってじき一年
この国のおえらいさんは
「いいかげんに自立したらどうなんだ」 と言う
俺たちを 難民に仕立てておいて よく言えたもんだない
だども きょうは元旦だ
お日さまに手を合わせ お祈りするべ
世界中の子どもたちが 大人たちが
戦争や放射能で苦しむことがないように
幸せになりますように とな

(2018年1月1日)


by johnny311 | 2019-04-10 09:19 | 日々の詩2018年